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第2話 違和感、永劫のまどろみへ

歩道橋を渡り終えるとゆるやかな坂が見えてきた。

「ここの坂地味にきついの嫌なんだよねえ」

しばらく歩いていると、街路様の中から白い校舎が映えてきた。

ここが私達が通う緑ヶ丘中学校。

校門に行くと生活委員が元気に挨拶している。

「おはようございます!!」

大きな声に私達はぺこりとおじぎした。なんで生活委員って朝からあんなに声出るの?

何回考えてもわからない、ただでさえ朝は元気ないってのに。

下駄箱で靴を履き替え、階段を上ると「2C」の文字が見えてきた。

自分の席で準備をしていると、後ろから「穂乃花おはよっ!」と声をかけられた。

振り向くと、少しウェーブがかかったセミロングの子がいた。

美麗(みれい)ちゃん、おはよう」

この子は美麗ちゃん。今年初めて同じクラスになった友達。

「今朝の狂暴化事件のニュース見た? ちょっと怖くない?」

「見たよ。怖いニュースだったよね」

あのニュースは教室でも大きな話題みたい。

「うん。朝から背筋凍りそうになったもん」

また脳内に何かが流れ込んできた。

不気味な魔王の笑い声、何もできない私…………

「穂乃花? ボーッとしてるけど大丈夫?」

「えっ、あ、うん。大丈夫。今日の給食何かなって考えてたの」

えへへ、と笑ったけれど心の中にある霧は晴れることなくずっと残ったままだった。


一帰りの会一

「皆さん知っている人も多いと思いますが、狂暴化事件が相次いでいます。

怪しいものには触ったり、近づいたりしないように! では、気をつけて帰ってください」

注意喚起をされてみんなわらわらと帰っていく。

私も教室を出ようとした時に望がすごい血相で私に話しかけた。

「穂乃花! 今日、塾がめっちゃ早くて裏道使わないと間に合わないのっ! でも、裏道暗いしなんか怖いから一緒に来てっ!」

望の塾は4時10分からで、今の時刻は3時25分。

望の家まで30分はかかって塾に行くには最低でも 15分かかるらしいから…………

確かに、ぴったりくらいになっちゃう。

おねがーい、と頭を下げられる。今日遅刻しちゃったしついていってあげよう。

……ってな感じで望と私は裏道を歩いている。

裏道を使うと10分くらい早く帰れるんだよねえ、バリバリに通学路無視なんだけど。

裏道は大通りより人通りが少なくて、少し暗い。

「ね、ねえ、穂乃花。あれって、ニュースでやってたやつ? ケースに入ってて白色で......」

そう言われて見てみると確かに特徴に当てはまってる。

望はギュッと私のブレザーを握った。

「.....そう、だと思う。絶対に近づいちゃダメだよ、望。

あれ、望......?」

私のブレザーから手を離された感触がして、望を見てみるとフラフラと液体の方にあるいている。まるで酔っ払いみたいに。

「望、ダメだよっ! あれ、すっごく危険な液体なんだよっ!」

パシパシッと頬や肩を叩く。けれど、それでも前に進もうとする。

なんて力なのっ...... こんなの望じゃないよ、別人だよ。

「………………ジェ、ジェネシス王、の言う通り、にすれば全て叶う......」

意味がわからない言葉をブツブツとお経のようにとなえている。

液体にいかせまいとずっと止めていたけれど、バッと望が私の腕を払った。

その力で私は地面に叩きつけられる。

望……? 一体どうしちゃったの……?

望がケースに触れるとキャップが開いてみるみる望の体の中に液体が入っていく。

ツンとするような刺激臭がする。

それにこの禍々しい雰囲気は何.......?

全部飲み終わってペロリと唇を舌で舐める望。

すると、望は急に四つん這いになって私を見た。

その目はいつも望じゃなく、うつろで液体と同じ白色で、敵を見ている獣のようだった。

「の、望..…?」

怖くて思わず声が震える。思わず後ずさりしてしまった。

まばたきをした次の瞬間、望はすごいスピードで獣のような歯を剥き出しにしながら私を襲ってきた。

やられるっ! と思いギュッと目をつぶった。

けれど、次に聞こえてきたのは「ウゲッ!」という声。

恐る恐る目を開けると、望はつるのようなものでぐるぐる巻きにされていた。

そして、後ろにはハーフアップの女の子と雪のように真っ白い猫がいた。

「ふう、間に合ったわね!これで任務完了!」

「な・に・が、任務完了よ!! まだ困ってる人がいるというのに!!」

ハイハイ、と適当に相槌を打つ女の子の横でプンプン怒ってる白い猫。

あれ? 猫って喋る生き物だっけ? 違う、違う、きっと私の見間違い。

「ほら、”アズル液”回収しないと。まぁた忘れる気?」

「わ、忘れてないもんっ!」

そう言って女の子は綺麗な緑色の石を取り出し望の方へ向けた。

『我が手にあるスピリアよ、我の前のにいる邪悪なものを祓いたまえ』

すると、望の体の中から黒いもやみたいなものが出てきてもあっという間に石に吸い込まれていく。同時につるのようなものも回収している。

うーん……夢を見ているのかな? 喋る猫といい、黒い

もやといい……

「こんにちは。怪我はない?」

「ひや、ひゃい! 大丈夫です!!」

突然話しかけられて変な声で答えてしまった。

しかも、クスクス笑ってるし.........

顔から火柱出てきそうなんですけど。

「ん......」

望が目を覚まして周りをキョロキョロしてる。

「……っ、望! 大丈夫? 体に違和感ない?」

少しだけ涙が出てきた。

なんで今、涙が出てきたのかな? 

怖かったから……?

「大丈夫だけど……私、何してたんだろ……?

狂暴化したこと、憶えてないんだ...…

少しだけ心がモヤッとする。でも、なんでモヤモヤしてるのかわからない。

「あなたは悪魔を飲んで狂暴化したのよ」

女の子が望に言った。

「えっ、それってどういう…………ーー」

と言いかけた望の目は近くの時計に向いている。

時刻は3時35分。

「時間ヤバッ! また明日ね、穂乃花!」

ピューッと望は大通りの方へ消えて行った。

「あの、さっき言ってたのってどういう意味なんですか……?」

とハーフアップの子に問いかけると意味ありげに少し微笑んで言った。

「知りたいのならついてきなさい。私達の秘密とさっきの意味がなんなのか教えてあげる」

そう言って前に踏み出した途端、バッターンと盛大に転んでしまった。

「えっ、ちょ、大丈夫ですか?」

「大丈夫、大丈夫か。さ、いきましょ」

この人は本当に大丈夫なのかな......? と不安になりながらもついていった。

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