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【新約】『俺のメガネ、喋るんですけど!?』 〜AIチートで天下統一〜  作者: Hachiroll
第二章:江戸チートAIで将軍になって天下泰平 
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新章 第五話:「三成、立つ」

慶長五年(1600年)、七月。

家康は、北へ向かっていた。

会津だ。

上杉景勝が、謀反の疑いありとして、討伐の軍を起こした。

東海道を北上する大軍の中、家康は馬上にいた。

「……静かだな」

EDO『何がですか』

「西が」

EDO『……』

「三成は、まだ動かんか」

EDO『今のところ、表立った動きはありません』

「そうか」

家康は、北の空を見た。

「もう少し、か」


七月十七日。

知らせが来た。

「家康様」

側近の声が、緊張していた。

「石田三成殿が──」

「わかった」

家康は、先を制して言った。

「挙兵したか」

側近が、息を飲んだ。

「……はい。大坂にて、毛利輝元殿を盟主に担ぎ、西軍を組織したと」

「そうか」

「驚かれないのですか」

家康は、馬を進めながら言った。

「驚かん」


その夜の宿営地で、家康はEDOに言った。

「遅かったな」

EDO『推定より、約二週間遅かったです』

「何があった」

EDO『毛利輝元殿の説得に時間がかかったようです。

三成殿単独では、大義名分が立たない。豊臣家の重鎮を盟主に据える必要があった』

「毛利を動かしたか。……やるな、三成」

EDO『ご評価されるのですか』

「敵だからこそ、正当に評価する」


家康は、地図を広げた。

「西軍の陣容は」

EDO『毛利輝元、宇喜多秀家、石田三成、島左近、大谷吉継

──主要どころで、石高の合計は西軍が上回ります』

「兵力では、我らが有利か」

EDO『数字上は。ただ──』

「ただ?」

EDO『我々の結束は、利害の一致によるものです。

思想的な核がない。三成殿への個人的な忠誠ではなく、

家康様への反発が、彼らを繋いでいます』

家康は、地図を見たまま言った。

「反発で繋いだ軍は、崩れやすい」

EDO『はい』

「どこが崩れる」

EDO『現時点での最大の変数は、小早川秀秋殿です』

「……秀秋か」


EDO『小早川秀秋殿は、西軍として参加していますが、内心は定まっていません。

かつて家康様から偏袖をいただいたことを、今も気にしていると思われます』

「あの時、贈り物をしておいたか」

EDO『はい。慶長三年の時点で、家康様が関係を温めていた記録があります』

「……ワシが仕込んでいた、と思うか」

EDO『思います』

家康は、少し笑った。

「半分は、そうだ。半分は、ただの縁だ」

EDO『どちらでも、結果は同じです』

「そうだな」


七月二十一日。

伏見城が攻撃を受けた。

「鳥居が、守っているか」

EDO『はい。城将・鳥居元忠殿、籠城中。兵力は僅かです』

「……助けには行けないな」

EDO『軍を返せば、三成に動く時間を与えます』

「わかっている」

家康は、静かに言った。

「元忠は、わかっていてあの城を守っている」

EDO『……』

「江戸に来る前、元忠と飲んだ。「この城で死ぬかもしれん」と言ったら、

「それが武士というものでしょう」と笑った」

EDO『……』

「あいつは、ワシのために死ぬつもりだ」


沈黙が続いた。

灯りが、静かに揺れていた。

EDO『家康様』

「なんだ」

EDO『……鳥居殿は、助かりますか』

家康は、答えなかった。

しばらく、地図を見ていた。

「……助からん」

EDO『そうですか』

「それが、戦だ」

EDO『……はい』


七月二十五日。

下野・小山。

家康は、東軍の諸将を集めた。

大広間に、大名たちが並んだ。

緊張していた。

三成が挙兵した。

家康はこのまま会津を攻めるのか、引き返すのか。

誰もが、固唾を飲んでいた。


家康は、広間を見渡した。

「皆に、聞く」

静かな声だった。

「石田三成が挙兵した。三成は大坂を押さえ、毛利輝元を盟主とした」

誰も、口を開かなかった。

「ワシはこれより、引き返す。三成と、決する」

また、沈黙。

「ただし──ここにいる者に、強制はせん」


家康は、続けた。

「それぞれの判断がある。三成側につく者は、今ここで去れ。ワシは恨まん」

大広間が、しんとした。

EDO『……緊張感が、部屋全体に広がっています』

「わかっている。静かにしていてくれ」

EDO『はい』

家康は、待った。

誰も、動かなかった。


そして──

福島正則が立ち上がった。

「家康様!」

「なんだ、正則」

「我らは、家康様についてまいります!三成め、許しておけません!」

「……そうか」

加藤清正が続いた。

「我らも!」

黒田長政が。

細川忠興が。

次々と、声が上がった。


家康は、広間を見渡した。

誰一人、去らなかった。

「……皆、ありがとう」

静かに、言った。

EDO『我々の結束、確認しました』

「そうだな」

EDO『小早川秀秋殿の動向は、まだ不確定ですが』

「この戦で、決まる」

家康は立ち上がった。

「西へ戻る。三成と、決する」


《── 慶長五年七月、小山評定 ──》

《西軍挙兵確認》

《東軍結束:完了》

《伏見城:陥落(鳥居元忠、戦死)》

《次の変数:小早川秀秋の選択》

《関ヶ原まで:約五十日》


三成が、動いた。

才があり、正義があり、

利家という後ろ盾を失った男が、

ついに動いた。

家康は驚かなかった。

ただ──

鳥居元忠の名を、

心の中で、一度だけ呼んだ。

それから、西へ向いた。

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