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ラスティア群像劇~第2章~  作者: niseimo38
第6章~修学旅行という名のゆがみ調査~

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082、個人修学旅行案内

AI作成セリフ筆者

アナスタシアが学院を訪れたとき、執務室の奥ではホールディが書類に目を落としていた。

「ふう……これで、議員の賛同がなくても動けるかしらね」

小さく息を吐いたその声に、アナスタシアは足を止める。

「ホールディ?」

「あら、アナスタシア。ちょうどいいところに来たわね。これを見てくれないかしら」

差し出された書類を受け取り、アナスタシアは目を通す。

「……紅孩公国への個人修学旅行者案内? ホールディ、これは一体?」

「ヴォイド君があなたに話したあと、トルキアにも伝えていたみたいなの。そしたらね、“紅孩公国のデータを集めてきてほしい”って」


ホールディは肩をすくめて続ける。

「表向きはただの修学旅行。でも、滞在は一年。その間に裂け目の発生頻度と、ゆがみ利用との相関を調べる手はずよ」

アナスタシアは書類から顔を上げた。

「……他国から情報をもらうのでは遅いのだろうか?」

「急いでるんでしょ? なら、少しでも早い方がいいじゃない」

軽い口調だったが、その言葉は妙に真っ直ぐだった。

アナスタシアはわずかに黙り、そして小さく頷く。

「……ありがとう。それで、誰が参加するんだ?」

「候補は決まってるわ。一般推薦にシルとレルク。教員にエルサド。生徒は――理央とリーチマン。この五人よ」

「理央とリーチマンか。修学旅行なら、彼らがいた方が議会の目はごまかせる、か」

「これから寮に書類を届けるところだけど、あなたも来る?」

「いや、私は動かないでおくよ。非公式調査だと知られたら終わりだからね」

「分かったわ」


ホールディは書類をまとめると、軽く手を振って部屋を後にした。

男子寮の廊下は、夕方のざわめきに満ちていた。

「おい、あれ学院長じゃね?」

「また理央関連か?」

学生たちのひそひそ声を気にする様子もなく、ホールディは目的の部屋の前で足を止める。


軽くノックをすると、中から返事があった。

「はい。……あれ、学院長? どうしたんですか?」

「理央君はいるかしら?」

「いますよ。おーい、理央ー。学院長だぞー」

部屋の奥で本を閉じる音がして、やがて一人の少年が姿を現す。

「学院長、どうしました?」

「これを受け取ってほしいの」

差し出された書類を、理央は不思議そうに受け取る。

「えーと……え!? 海外へ行けるんですか!?」

目を輝かせるその反応に、ホールディは小さく頷いた。

「ええ」

「やった! いつからですか?」

「明日出発予定だけど、間に合うかしら?」

「明日……? あ、大丈夫です! 箒と簡易杖があればいいですかね?」

「箒はいらないわ。代わりに、しっかりした杖を持っていきなさい」

「分かりました! わざわざありがとうございます!」

「いいのよ」

理央は嬉しそうに何度も書類を見返している。

その様子を一瞬だけ見つめてから、ホールディは静かに背を向けた。


女子寮の空気は、どこか柔らかい。

「こんばんは、学院長」

「こんばんは」

「今日のゆがみ産アルコールなしビール、美味しかったよね」

「ね! バターの味がするビールとか初めて!」

他愛ない会話を横目に、ホールディは目的の部屋へと歩く。


軽くノックをすると、すぐに扉が開いた。

「はーい。……あれ、学院長? どうしたんですか?」

「この書類を受け取ってほしいの」

リーチマンは書類を受け取り、目を通す。

「……え、ちょっと待って。1年間、海外?」

「あなたにぜひ行ってほしいのよね」

「でも、授業とかどうするんですか?」

「だからあなたなのよ。高等部課程をすべて終えている、あなたにね」

リーチマンはわずかに眉を上げる。

「まだ2年生ですけど……3年生とかの方がいいんじゃ?」

「あなたじゃなきゃダメなのよ。お願いしてもいいかしら?」

その言葉に、リーチマンは少し考え、肩をすくめた。

「まあ、大丈夫っちゃ大丈夫ですけど……。他の先生や生徒には説明したんですか?」

「あなたたちが出発したら、ちゃんと報告するわ」

「それダメなやつですよ」

苦笑しながらも、リーチマンは続ける。

「でも、海外は興味ありますし。問題なければ、行きたいですね」

「大丈夫よ。私がなんとか説得するわ」

「それなら……。出発は明日なんですね。荷物は?」

「しっかりした杖があればいいわ」

「分かりました。じゃあ明日、指定の場所に行きます」

「ええ、お願いね」

扉が静かに閉まる。

廊下に戻ったホールディは、一度だけ振り返った。

そして何事もなかったかのように、そのまま歩き出す。


――すべては、ただの修学旅行の準備として。


海外、紅孩公国にいけると知ってウキウキの理央君と慎重なリーチマンちゃん。

だが、真相は紅孩公国のデータ集め。果たして、普通の修学旅行で終わるのでしょうか?

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