083、急な依頼の対応作業
筆者半分AI半分作成
魔術師兼槍戦士のシルは机の上に積まれた書類を手際よく分けながら、ふと顔を上げた。
「ねえ、聞いた? 今度の依頼の詳細」
向かいでは、同じく魔術師兼斧戦士のレルクが静かに魔力を練り上げている。
指先に集まる淡い光が、彼の集中を物語っていた。
「ああ。紅孩公国の裂け目頻度と、ゆがみ利用の相互関係だろう? それがどうかしたか」
「いやね」
シルは一枚の紙を揃えながら、少し眉をひそめる。
「普通なら私たちじゃなくて、政府機関の誰かがやるもんじゃない?」
「まあ、そうだな」
レルクはあっさりと同意する。
「でも、私たちに回ってきた。しかもどっちかというと、戦士が本業の私たちに」
「よほど危険な任務、と考えるのが妥当だろうな。裂け目とやらがどれほど危険かは知らないが」
シルは肩をすくめ、小さく息をついた。
「危険だけじゃないと思うよ。政府にも、私より強い人はいるしね。たぶん、秘密裏でやらせたいんだと思う」
レルクは特に反応を変えず、淡々と魔力の操作を続ける。
「だろうな。ところで、もう準備はできているのか?」
「だったら少しは手伝ったらどう?」
シルは呆れたように言い、机の上の山を軽く叩いた。
「裂け目関連の資料に、新しいノートと紙。持ってくだけでも大変なんだから」
「書類関係はお前に任せる」
レルクは視線を動かさずに答える。
「こっちは槍と斧の整備と、卒業祝いでもらった魔術触媒の指輪にマナを込める作業で手一杯だ」
「まあ、それも大事な作業だから仕方ないか」
シルはため息まじりに肩を落とす。
「まったく……こういうことは、もう少し早く知らせてほしいものね」
「それだけ秘密裏にしたいってことだろう。表だって動けば、それこそ政府機関にばれる」
シルは一通り書類を分け終え、整然と積み上げた。
「さて、荷物配分はどうする? 槍と指輪は装備として、この山の紙と資料、それにノート」
レルクはようやく手元の光を収め、武器と指輪を手に取る。
「そうだな。俺は斧だから、資料と斧、指輪だけでいいか」
「まあそうなるよね。いいわよ。じゃあ紙とノートは私が持つ。ペンとインクは現地調達でいいわよね?」
「ああ。紅孩公国の方が質のいいものがあるかもしれん」
互いに確認を終え、二人は作業を締めくくった。
研究室を出て居間へ移ると、張り詰めていた空気が少しだけ緩む。
「さてと。それじゃ、私はお風呂沸かしてくるね」
「ありがとう。俺は軽く料理を作るよ。野菜炒めでいいよな?」
レルクはエプロンを身につけながら振り返る。
「ええ。できれば羊肉も入れてほしいな。あれがあるとすごく美味しいから」
「はいよ。たしか冷凍のが残ってたはずだ」
シルはふと立ち止まり、思い出したように口を開いた。
「というか、残った食材どうしようか?」
「……そこまでは考えてなかったな」
「うーん、やっぱり弟のルイルに家を見てもらう?」
シルは指先で髪をくしゃくしゃとかき混ぜる。
「一旦、寮から自宅通いに変わってもらわないとね」
「しかないだろうな」
「手紙も書いとかないと……あー、本当に急だから忙しい!」
「全くだ」
レルクは包丁を動かしながら、軽く肩をすくめる。
「学生は気にしないのかもしれないが、こっちは手続きやら整理やらがあるからな」
「手紙は食後に私が書いておくわ。その間にレルクはお風呂に入ってきなよ」
「いつも一番風呂もらって悪いな。ありがとう」
「いいのよ」
シルは少し目を細めて笑う。
「私はレルクの後に入るのが好きだし」
「……そうか」
短く返しながらも、レルクの手は止まらない。
やがて、香ばしい匂いが部屋に広がる。
「さてと、もうすぐできる。ご飯と箸を用意したら食べられるぞ」
「私もお風呂沸かし終わったわ。箸は準備するから、ご飯よろしく」
「はいよ、と」
テーブルに並んだ皿を見て、シルはぱっと表情を明るくした。
「お、今日はキャベツとニンジン、タマネギに羊肉か! 豪華だね!」
「余り物を全部ぶち込んだからな。消費しきれない分はルイルに任せよう」
「それじゃ、いただきます」
「いただきます」
修学旅行の名目の裏で活動準備をする魔術師、シルとレルクの二人。
裂け目の調査は彼女らは知らないが危険なのはこれまでの話で書いてきた通り。
だからこそ戦士として実力のあるこの二人が選ばれています。
ホールディはそのあたりも考えて人選しているようですね。




