080、共に守れる日を夢見て
筆者執筆
どれほどの時間を、そう過ごしていただろうか。
互いが静かに寄り添い、ただ時間だけが流れていく。
その流れを変えたのは、やはり彼だった。
ティエザ「さてと、僕は悪魔さん呼んでくるね」
ティエザはそう言うと、屋敷の中へと向かっていった。
それに呼応して村人たちも徐々に元の場所へ戻っていく。
イール「さてと、私は門の前に戻るとしますか!」
ルートルード「オーウェン、お腹がすきましたね」
オーウェン「じゃあ、今夜は赤飯でも炊くか」
そして、その場には、ゴルゴンたち、サディア一家だけが残った。
ティエザ「あれ、みんな戻っちゃったんですか? これから、下級悪魔さんたちに来てもらうところだったのに」
ティエザは少し不思議そうに疑問を口にする。
ゴルゴン「そうか、この時間は彼らと乱取りするんだったな」
下級悪魔「キキ!? スキア!」
下級悪魔「もう悪いことしない! だから追い返さないで!」
スキア「ふっ、随分と怖がられたもんだな」
ティエザ「ねえイチさん、ジュウニさん。今日は僕が編み出した必殺技を受けてみて!」
悪魔イチ「キキ―、ティエザ、分かった!」
悪魔ジュウニ「防御に全集中!」
イチとジュウニは魔方陣で盾を張る。
ティエザ「見ててね、ゴルゴンさん! 閃光連斬!」
ティエザは、大きく剣を振りかぶり、気合い一閃、叩き下ろす。すると、剣閃がイチとジュウニの魔方陣の盾に衝突する。
イチ「キキ!?」ジュウニ「まずい!?」
次の瞬間、盾はパリンと音を立てて砕けた。
イチとジュウニはそのタイミングを見計らい、剣閃をすんでのところで避ける。
剣閃は彼らの後方で霧散し、跡形もなく消えた。
ティエザ「どう、ゴルゴンさん!」
ゴルゴンは嬉しそうにティエザに話す。
ゴルゴン「すごいじゃないか! 私がこの前教えた飛ぶマナの斬撃をもう使いこなしたのか!」
イチ「ティエザ、危ない!」ジュウニ「ティエザ、俺ら、死ぬとこだった!」
ティエザ「ごめんごめん。でも、どうしてもこの技を試したかったんだ!」
スキアはそんな様子を見て頬を緩める。
そして、かつて自分も、父から剣技を習っていたことを思い出す。
ゴルゴン「ティエザ」
ゴルゴンは真剣な表情に戻り、ティエザを呼ぶ。
ティエザ「何、ゴルゴンさん?」
ゴルゴン「……共に守れる日を夢見よう」
ティエザ「うん!」
スキアは、辺りを見渡す。
村の子どもたちは無邪気に遊んでいる。
ティエザは純粋にゴルゴンを師事している。
エンとレインは静かに二人を眺めている。
村の大人たちは、日々の喧噪に色を持たせる。
スキアはそれを見て、空を見上げた。
透き通る青が、風とともに吹き抜けていったのだった。
ゴルゴンはティエザの成長を見て、はじめは守ろうとする。だがそれでは届かない未来があると気づく。
だから言葉を変える。「共に守れる日を夢見て」と。
スキアもまた、その言葉に静かに応える。いつか父と並び立つ日が来ることを知っているから。




