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ラスティア群像劇~第2章~  作者: niseimo38
第5章~悪魔の野心は花開くか~

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79/83

079、親子

AI作成、セリフ筆者

昼下がりのナスティアは、どこか静まり返っていた。


屋敷の裏手の木陰。

ゴルゴンは地面に腰を下ろし、ゆっくりと目を閉じている。


呼吸は浅くもなく深くもない。

ただ、周囲の気配を撫でるように整えられていた。


遠くでは悪魔たちが石を運ぶ音がする。

村の子どもたちの笑い声が風に乗る。

草が擦れる音が、静かな波のように広がっていた。


すべてが穏やかだった。


だが。


ゴルゴンはゆっくりと目を開く。


「……妙だな」


低い声に、近くで設計図を広げていた双葉が顔を上げた。


「何がじゃ」


「気配が……薄い」


「敵か?」


「分からん。だが、“何か”が近づいている」


双葉はしばらく黙り、ふっと鼻で笑った。


「強者特有の勘というやつかい」


「そんなところだ」


そのとき、遠くから声が飛んできた。


「ゴルゴンさん! イールさんが門の方で変な風を感じるって!」


ティエザだった。


ゴルゴンは立ち上がる。

空を見上げる。


雲は流れている。

だが空気の流れがどこか歪んでいた。


屋敷の扉が開き、エンが外に出てくる。

同じ方向を見た。


「……あなたも感じた?」


「ああ」


「裂け目ではないわね」


「違う。もっと……意志のある何かだ」


村の入り口付近。

イールは槍を握り直していた。


「なんだろう……怖くはないんだけど、落ち着かない」


その横でオーウェンが腕を組む。


「強者だな」


「分かるんですか?」


「分かる。これは戦場の空気だ」


ルートルードがゆっくり歩み寄る。


「歓迎の準備をしておくべきかもしれませんね」


ゴルゴンは静かに頷いた。


「……来るな」


誰もが空を見上げる。


そして。


風が一瞬だけ止まった。


「やはり、あなたでしたか……」


声が落ちた。


スキアだった。


「でも、昔より澄んでいる」


隣のレインが静かに言葉を添える。


ルートルードが二人を見て首をかしげる。


「レインさんと、お隣は……お兄さんですか?」


「ああ、そうだ」


イールは槍を構えたまま問いかける。


「何しにここへ来た?」


「たしかめに来た」


オーウェンが眉を上げる。


「たしかめに?」


レインが短く答える。


「思いを」


エンが一歩前へ出た。


「スキア。なんの思いをたしかめに来た?」


スキアは答えない。


ただ、ゴルゴンとエンの目を見る。


レインもそれに倣う。


ゴルゴンは黙って見返す。

エンも同じだった。


沈黙が落ちる。


その重さに耐えきれず、ティエザが小さく呼んだ。


「……ゴルゴンさん?」


ゴルゴンは視線を少し外し、優しくティエザの頭を撫でた。


「えへへ、ありがとう、ゴルゴンさん」


スキアはその様子を見たあと、今度はティエザの目を見る。


ティエザは疑問もなく、まっすぐ見返した。


「……レイン。どう見る?」


「まっすぐ。昔、私たちが旅立ちを始めたときぐらい」


「そうか」


スキアはゴルゴンへ向き直る。


「……ゴルゴン。この少年は、あなたにとって、どんな存在だ?」


「大切な仲間だ」


レインが続けて問う。


「エン、あなたにとって、彼はどんな存在?」


「ちょっとした義理の息子みたいなもんだね」


スキアはティエザへ向く。


「君は――」


「ティエザ」


「それは、君の名か?」


頷き。


「ティエザ。君にとって、二人はどんな存在だ?」


「家族」


「なぜ断言できる?」


「本当の両親より両親だから」


スキアはティエザを測るように見る。

ティエザも同じように見返した。


「スキアさん。あなたは、何を背負ってる?」


「……君よりは重いモノかもな」


「ふーん。じゃあ、一つ聞かせて」


「なんだ?」


「あなたは、ゴルゴンさんとエンさんをどんな存在で見てる?」


「……そうだな。よくやっている」


「ちゃんと言葉にして」


スキアは小さく息を吐いた。


「参ったな……。なら、はっきり言おう。修復師と縫界衛士として、よくやっている」


「それは神話の職業だね」


「だが、実在する」


「そう」


ティエザは興味を失ったように視線を外し、

ゴルゴンとエンの手を握った。


ゴルゴンが口を開く。


「スキアよ。その修復師と縫界衛士というのは?」


「修復師は時空の裂け目を縫う存在。縫界衛士は修復師を護る存在だ」


レインが続ける。


「中央大陸のエルフが担っている。でも反応が遅くなる。だから地方限定の存在が必要になる」


エンが頷く。


「なるほどのう。つまり私が塞ぎ、ゴルゴンが守るわけだ」


「だが私一人では衛士は務まらない。村の皆の協力があって初めてだ」


スキアがわずかに笑う。


「……あなたから“協力”という言葉が出るとはな」


「昔の私では考えられんな」


レインが静かに言った。


「ねえスキア。もう、いいんじゃない?」


「そうだな」


スキアはゴルゴンを見る。


「……いや、父上。おかえりなさい」


ゴルゴンは目を細めた。


「……ああ。ただいま」


「今は本当に父上と母上だね」


エンが笑う。


「嬉しいこと言ってくれるじゃない?」


ティエザが言う。


「ゴルゴンさん、エンさん、嬉しそうですね」


「なんだか、初めて同じ方を向いている気がしてね」


「ティエザ、あんたも同じ方向を見てるだろう?」


「そうですね。そのためにも僕は強くなる」


スキアが静かに言う。


「父上、良い義子を持ったね」


「全くだ」


風がまた流れ始めた。


村の音が戻る。


そして日常が、何事もなかったように動き出した。


修復師と縫界衛士として。そして、親子として。

彼らは語り合う。そして、日常へ戻る。

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