076、大工の朝は早い
筆者半分AI半分
翌朝。
まだ日が昇って間もない頃だった。
「おおい! 大工連れてきたぞ! はよ起きんか!」
小屋の外から、張りのある声が響く。
最初に姿を現したのはゴルゴンだった。
「おはようございます、双葉さん」
「おお、ゴルゴンか。お前さんはちゃんと早起きだな。良い事じゃ」
双葉は満足そうに頷く。
その後ろから、ぼんやりとした顔でティエザが出てきた。
「うーん……もう朝?」
「ほら若造! はよ目を覚まさんかい!」
「あ、双葉さん。おはようございます」
双葉は小屋の中を覗き込み、眉をひそめた。
「他のものは寝ておるのか? どいつもこいつもだらしがない……」
ゴルゴンは苦笑する。
「ははは……」
そこへエンが顔を出した。
「ゴルゴン。この者は誰だ?」
「逆月双葉さん。大工を集めて私たちの家を建ててくれる方だ」
「あら。双葉さん。この度はありがとうございます」
「礼ならそこの若造に言いな」
「え? 僕?」
エンは小さく笑った。
「フフ。ありがとう、ティエザ君」
「あ、はい。ありがとうございます」
双葉は腕を組んだままゴルゴンを見る。
「ゴルゴン。あんたの力でこのねぼすけ共を起こしてくれないかい?」
「やってみよう」
ゴルゴンは静かに息を整えた。
次の瞬間、小屋の周囲の空気が変わる。
重く張り詰めたマナ。
それに混じる、鋭い殺気。
「ほほ……これは予想以上に……」
双葉が目を細める。
ゴルゴンは低く、重い声で告げた。
「貴様ら、起きろ」
直後、小屋の中から慌ただしい物音が響いた。
下級悪魔、中級悪魔、タフィス、リルカージュ。
住人たちは飛び起きるように外へと駆け出してくる。
数分も経たぬうちに、小屋の中は空になっていた。
ゴルゴンは殺気を解き、双葉に視線を向ける。
「これで良いか?」
「完璧じゃ! やるのお!」
タフィスは青ざめた顔で震えていた。
「え、何? ついに殺されちゃうの?」
「今の殺気、ただ事じゃない……」
リルカージュも小声で言う。
ティエザは呑気に笑った。
「二人とも、起きるの遅いよー?」
「ねえティエザ。さっきの殺気は一体……」
「二人と悪魔さんたちを起こすための、ただの圧」
「だ、だよねー。そうだと思った。ははは……」
双葉は手を振った。
「小娘共はさっさとどこか行きな! 今からこの小屋の建材使わせてもらうからの」
「あ、はい。分かりました」
「怖っ……」
エンが前に出る。
「双葉さん。下級悪魔の労働力はいるかい?」
「いらない、と言いたい所だが、この人数を入れる家となると、ちょいと手を借りたいねえ」
「分かりました。お前たち! 今から双葉の姐さんが指揮を執る! 指示に従いな!」
「キキー! 双葉の姐さん!」
「キキー! 従う、従う!」
「何なりとご命令を」
双葉は満足そうに頷いた。
「まずは大きな石を川から取ってきな。そうさね、三十個ほど持って来い」
「キキー! りょーかい!」
「かしこまりました」
「あーそこの言葉遣いが丁寧な悪魔。お前はこっちで設計図をよく見て、組み立てのイメージを固めて」
「は、かしこまりました」
朝の空気は、すでに労働の熱気に満ち始めていた。
悪魔も人も、区別なく動き出している。
この土地で生きるために。
双葉さんはこの現場の主導権を握っていますね。
付き添いで来た大工は、図面を引いたり、現場の測量をしたりしています。
建築士と測量士の領域ですね。それ以外の土木仕事は悪魔たちがやっています。




