074、セントビア限定修復師
筆者半分AI半分
高い天井に朝の光が差し込んでいた。
謁見の間は静まり返り、玉座に座る男だけが堂々と空気を支配している。
「フェルナンド王、件の悪魔を連れてきました」
エレンが一歩前に出た。
「うむ。よくぞこられた」
王は穏やかに頷く。
「あなたが、この国の統治者ですね?」
ゴルゴンが問いかける。
「いかにも。私はフェルナンド・トーレス・セントビア。まずはこの国へ来たことを歓迎しよう」
「あなたは、悪魔を恐れないのですね」
王は小さく笑った。
「過去にこの地を訪れた悪魔がおってな。兵士として訓練を受け、その才覚から次期兵士長の座を渡してもよい、とルエン兵士長が言うほどの者だった。その話を聞いてから、悪魔にも正しき心を持つ者はいると判断している」
「その悪魔は、素晴らしい功績を残してますね」
ゴルゴンは静かに言った。
「うむ。だからそなたをむげに扱うつもりはない。それに――」
王はティエザに目を向ける。
「そこの若い兵士が、何かしたら噛みつきそうな目で見ておるからな。わっはっは!」
「い、いえ! 決してそのようなことは……!」
ティエザは顔を赤くした。
その時だった。
「あ、姫! 今は客人が謁見中です!」
侍女の声が響く。
「お父様! 私もお父様のお仕事見たい!」
小さな足音が駆け寄ってくる。
「おお、レシィラか。私の仕事が見たいのか。いいだろう、こっちにおいで」
「わあい!」
少女はとてとてと玉座へ歩み寄った。
「これはまた随分と可愛い王様ですね」
エレンが呟く。
「この子は娘たちの中でも一番私に懐いていてな。嬉しい限りだよ」
王は目を細める。
「ねえお父様。この変わった身なりの方は誰なんですの?」
「私の名はゴルゴン。最近この地にやってきた悪魔だ」
「悪魔さんなんですね! 悪魔さんはすっごく強いんですのよ!」
「これこれレシィラ。ゴルゴン殿が困ってしまうではないか。すまないな」
「いえ、お構いなく」
「ごるごんさん。この国はいいところですのよ! みんなお父様のことが大好きなんですの!」
「そうですか……フェルナンド王。良き娘ですな」
「目に入れても痛くないとはこのことだな!」
「娘自慢もいいですが、そろそろ本題に入っていただけますか?」
エレンが軽く咳払いをした。
「おお、そうだった。ゴルゴンよ。お主の連れにエンという女性がいるそうだな」
「はい。私の妻です」
「その者が裂け目をたやすく塞いだと聞いている」
「いにしえの知識を元に編み出した技法です」
「この国には裂け目の対処ができる者がおらん。エレンが察知し対処に当たっているが、あくまで現れたものへの対処のみ。そこへお主たちが現れた」
「……ふむ」
「どうだ。この国の時空のゆがみを、お主たちで管理してみないか?」
「一つ問いたい。フェルナンド王はゆがみについてどれほど知っておられる?」
「エレンから聞いた程度だが、世界各地に存在し利用されている。放置すれば、いずれ世界が滅亡するともな」
ゴルゴンはわずかに目を伏せた。
――力で支配する以前の問題だ。
世界そのものが崩れようとしている。
「それで、管理はしていただけるかな?」
「分かった。約束しよう。この地域のゆがみは私が管理すると」
「おお、それはありがたい! もし良ければ今宵、酒を共に飲み明かそうではないか!」
「いえ、遠慮しておきます。それより、ゆがみの様子が気になります」
王は少しだけ残念そうに笑った。
「そうか。まあ良い。いずれ語り合う時もこようぞ」
「その時は、喜んで酒を酌み交わしましょう」
こうして、新たな責任が静かに結ばれた。
セントビア王国に修復師が誕生しそうですね。当初はこのような形は全く想像していませんでした。
これだからこの世界は面白い。私の予測を超えてくることが”よく”ある。




