073、価値観の揺らぎ
筆者半分AI半分
朝の光が村を白く照らしていた。
「ゴルゴン。セントビア王に謁見の許可をもらってきた。会いに行くといい」
エレンが簡潔に告げる。
「たしか、この村の隣の王国の統治者だったな。一度話したいと思っていた。すぐに支度する。エンは悪魔たちの面倒を見ていてくれ」
「はいよ」
エンは軽く手を振った。
「あの……」
遠慮がちにティエザが口を開く。
「ん? どうした、ティエザ?」
「その謁見に、僕もついて行っていいですか?」
「ティエザ!? 相手は王様だよ!? しかも悪魔と一緒に!」
リルカージュが思わず声を上げる。
「ティエザ! いい加減になつきすぎよ!」
タフィスも慌てて続いた。
「ふむ。良いだろう。兵士が一人いたほうが信頼出来ると言うものだ」
エレンはあっさりと頷く。
「エレンさんまで! 止めてくださいよ!」
「これじゃあまるで悪魔に魅了された人間みたいになっちゃう!」
半ば悲鳴に近い声だった。
「ティエザはこう言われているが、どうしたい?」
ゴルゴンが静かに問う。
「ゴルゴンさんたちが早く馴染むために、全力を注ぎたいです」
迷いのない答えだった。
「決まりだな」
エレンが短く言う。
「ティエザが魅了されてしまった……」
「こうして王国は徐々に悪魔の手に落ちるのね……」
リルカージュとタフィスが顔を覆う。
「お師匠、用ってなんだい?」
そこへニーナが歩み寄ってきた。
「リルカージュとタフィスを見てやってほしい」
「はいよ」
「さて、準備も出来た。行くとしよう」
ゴルゴンが背を向ける。
「ゴルゴンさん、手、つないでもいいですか?」
「ん? 別に構わんが……」
「……えへへ」
ティエザは嬉しそうにその手を握った。
やがて三人の背中が遠ざかっていく。
残されたのは、重たい沈黙だった。
「なんでこうも悪魔を信頼出来るかねえ……」
タフィスが呟く。
「ティエザは、もうだめかもしれんね」
リルカージュが肩を落とす。
「だめなのはお前らだ」
ニーナの声は静かだった。
「え?」
「どういうことですか?」
「お前ら、ルートルードさんはどう思う?」
「この村の村長で、優しい人だと思います」
「じゃあ、ゴルゴンさんは?」
「怖い悪魔です」
「じゃあ次。ルートルードは“人”なのに、ゴルゴンはなんで“悪魔”なんだ?」
二人は言葉を失った。
「何が言いたいんですか?」
リルカージュが睨む。
「お前ら、魔族は“人”で見るのに、悪魔は“人”で見てないよな?」
「……言われてみれば」
「悪魔は悪魔ですよ。それが悪いんですか?」
「その理論なら、魔族も“悪魔”だぞ。魔族は悪魔族人間種だからな」
「それは……でも、魔族は見た目も人間に近いし……」
「リルカージュは見た目だけで差別するのか?」
短い沈黙。
「……すみません」
「分かったなら、ゴルゴンが帰ってきた時に謝りな」
ニーナはそれだけ言った。
「もしかして、私たち、すごく失礼だったのかな?」
「だろうね。流石に、反省する……」
朝の光は変わらず眩しかった。
だが、二人の中で何かが確かに変わり始めていた。
リルカージュは悪魔=悪、と言う考えのもと行動していました。
ですが、ニーナに言われて、それが正しくないことを目の当たりにしました。
彼女にとって、この出来事は大きな意味を持つでしょう。




