072、真夜中狂騒曲
AI作成
夜は想像以上に騒がしかった。
――グオオオオ……ガアアア……フゴォ……
「……ねえリルカージュ」
暗闇の中、タフィスの震えた声がした。
「なんだ」
「いびき、やばくない?」
「やばいな」
木の床が震えている気すらする。
「悪魔って寝るときもこんな命がけなの……?」
「安心しろ。もし襲われたら一瞬で終わる」
「安心できる要素が一つもないんだけど!?」
タフィスは毛布を頭までかぶった。
一方そのすぐ横では、ワットが既に爆睡している。
規則正しい寝息すら立てず、完全に意識を手放していた。
「……この人、なんでこんなに早く寝られるの?」
「さあな。現場慣れしているのだろう」
リルカージュは半ば呆れたように言い、ワットの隣で小さく丸くなった。
少し離れた場所では、ティエザが静かに眠っている。
ゴルゴンのすぐ隣で、安心しきった顔だった。
その様子を見下ろしながら、ゴルゴンは小さく息を吐いた。
「……無防備なものだな」
「若いってそういうものだろう?」
エンが小さく笑う。
「スキアやレインも、昔はこんな顔をして眠っていたのかもしれん」
「今じゃ想像もつかないね」
「……ああ」
ゴルゴンは目を細めた。
小屋の外では風が木々を揺らしている。
中では悪魔のいびきと、人間たちの不安げな寝返りの音が続いていた。
だがティエザだけは、微動だにせず眠り続けていた。
「図太いのか、信じているのか」
「両方だろうね」
エンはそう言って横になった。
ゴルゴンはしばらく天井を見上げていたが、やがて目を閉じた。
――これも、悪くない。
朝は静かに始まった。
いや、正確には――静かな者もいれば、そうでない者もいた。
「……む」
最初に目を開けたのはゴルゴンだった。
薄暗い小屋の天井を見上げ、ゆっくりと意識を取り戻す。
その瞬間、何か違和感を覚えた。
動けない。
視線を下へ落とす。
「……」
ティエザが、しっかりと抱きついて眠っていた。
しかも完全に無意識の様子である。
ゴルゴンはしばらく固まった後、小さく息を吐いた。
「……困ったものだな」
苦笑が漏れる。
「ふふ……」
隣でエンが目を覚まし、状況を見て思わず笑った。
「なかなか大物だね、この子」
「警戒心がないのか、信頼しているのか」
「両方だろうさ」
エンは優しくティエザの頭を見下ろした。
一方、小屋の端では――
「……」
タフィスは一晩中起きていた。
目の下にうっすらと隈を作りながら、無言でその光景を見つめる。
「……すごいな、ティエザ君」
ぽつりと呟く。
恐怖の対象に抱きついて熟睡できる神経。
ある意味、尊敬に値するのかもしれない。
やがて、
「……ん」
中級悪魔がゆっくりと起き上がった。
それに連動するように、
「キキー……」
「ウゥ……」
下級悪魔たちも次々と目を覚ます。
小屋の中に、再びざわめきが戻ってきた。
最後に、
「……あれ、朝?」
リルカージュが寝ぼけた声を出す。
「よく寝た……」
その横でワットが伸びをした。
タフィスはその様子を見て、深く息を吐く。
「……やっと朝だ……」
こうして、小屋での最初の夜は幕を閉じた。
ティエザ君? 想像以上に信頼してますね、この子。無防備すぎる!
これにはゴルゴンさんも苦笑い。多分息子でもここまで無防備なのはほとんど見たことないでしょう。




