071、悪魔は怖いが魔族なら?
筆者半分AI半分
簡易とはいえ、小屋は形になった。
切り出したばかりの木の匂いが、夕暮れの空気に混じっている。
下級悪魔たちが、きゃあきゃあと騒ぎながら中へ入り込んでいく。
「これが、この村での第一歩か……」
ゴルゴンは目を細めて呟いた。
「まあ、不格好だね」
横からエンが軽く笑う。
「まずはこれでいいんだ」
噛み締めるように、ゴルゴンは答えた。
「それじゃ、私たちはこれで――」
タフィスが帰ろうとしたところで、
「ん? タフィスもティエザもリルカージュも、この小屋でしばらく暮らす予定だが?」
エレンが首を傾げる。
「は?」
「え?」
「……まあ、想像は出来た」
三者三様の反応が返る。
「ちょっと待ってくださいよ! 悪魔と一緒って怖すぎですって!」
タフィスが慌てて後ずさる。
「タフィス、諦めよう。私たちは今日まで生きてこられたことに感謝しながら骨になろう」
「怖いこと言わないで!?」
軽口を叩くリルカージュに、タフィスが半泣きで叫ぶ。
「でも、そんなに怖くないですよ、皆さん」
ぽつりとティエザが言った。
「甘い! 甘いよティエザ君! 悪魔って食べ物=人間なんだよ!」
「と言うより、なんでティエザはそんなに冷静でいられるんだ?」
「ゴルゴンさん、多分、お子さんがいますよ。しかも、何か事情がありそうな」
「ティエザよ。もっと言ってやれ」
ゴルゴンが腕を組んだまま促す。
「あ、はい。ゴルゴンさんがいれば、悪魔たちも勝手に食べたりしないと思いますし……まずゴルゴンさん自身、その気は全くないと思います。そんなことしたら、きっとエレンさんが黙ってないでしょうし」
「うーん。まあ、エレンさんが黙ってないには同意、かな」
「まあ、大丈夫……なのかな?」
タフィスとリルカージュが顔を見合わせる。
「怖いなら俺も同席しようか?」
ワットが気楽に言った。
「是非!」
「お願いします!」
二人の声が重なった。
「ゴルゴンさん、小屋の広さ大丈夫です?」
「タフィスの設計だと、数人増えた程度なら問題なく寝られるはずだ」
「ならよかった」
ティエザはほっと息をついた。
「しかし、魔族とは暮らせても悪魔と暮らすのは恐怖、か。魔族も元を辿れば悪魔なのだがな」
エンが苦笑する。
「まあそう言うな。事前に伝えてなかった私の落ち度だ。許せ」
エレンは短く頭を下げた。
「しかし、ティエザと話をしておいてよかったぞ。人間側の理解者となってくれたのだからな」
「えへ、ありがとうございます」
「それじゃ、今日は小屋で寝るとしますか」
ワットが肩を回す。
「うむ、そうしよう」
ゴルゴンが頷いた。
「ゴルゴンさん、隣って空いてますか?」
「む? エンの反対側なら空いているが?」
「じゃあ僕、ゴルゴンさんの隣で寝ますね」
あっさりと言い切るティエザに、
「ティエザ、一体何があったらここまで信頼出来るの?」
リルカージュは本気で首を傾げた。
小屋の外では、夜の風が木々を揺らしていた。
悪魔にガチ恐怖するタフィスとリルカージュ。と、対比するかのように信頼しきるティエザ。
見ていて面白いですね。最初一番怖がっていた子が、今は一番理解者になっている。




