070、父としての胸中
作者半分AI半分作成
ゴルゴンは、腕を組んだまま仮設予定地を見渡していた。
かつて魔城を構え、無数の配下を従えていた男が、今はただ一軒の小屋の在り方に思案している。
「まずは、居住者は……こちらの悪魔さん全員ですか?」
設計図の代わりに地面へ棒で線を引きながら、タフィスが問う。
「ああ、そうだ」
ゴルゴンは短く答えた。
「そうですねえ。今回は本当に雨風を凌げるだけで良いと思います。本格的な住居は大工さんに頼みましょう」
「ふむ、そういうものなのか」
かつてなら一声で城を築かせていた男は、素直に頷いた。
「そ、そうですね……。ここにいる人たち、誰も建物を建てる心得がないですから」
緊張した面持ちのティエザが慌てて補足する。
「私が作れるのも、テント代わりの簡易小屋が限界ですからね」
タフィスは肩をすくめた。
「それで、資材は何が必要なんだ?」
横で様子を見ていたエンが口を挟む。
「まずは木材を軽く二百本ほど用意してほしいです」
「分かった。聞いたか、お前たち」
ゴルゴンの低い声が響く。
「木材?」
「木、切ればいい?」
下級悪魔たちが顔を見合わせる。
「下級悪魔さん、私が見本作るから、それと同じものを作ってね」
リルカージュが穏やかに言うと、
「キキー! りょーかい!」
元気な返事が林の方へ飛んでいった。
中級悪魔が後を追いながら、
「私もついて行きますね。指揮が必要でしょう」
と振り返る。
「助かります」
リルカージュは小さく頷いた。
現場に残ったのは、ゴルゴン、エン、タフィス、そしてティエザだけとなった。
「さてと……骨組みはこうで、外壁はこう……」
タフィスは再び地面に図を描き始める。
「む? この柱はなんだ?」
「ああ、それは途中の支柱です。広くなるので必要なんですよ。あると耐久度が大幅に上がります」
「なるほど」
ゴルゴンは感心したように唸った。
「それじゃあ私は少し村を回るよ。この村の人とも話してみたいしね」
「ああ、頼んだ」
エンは軽く手を振り、歩き去っていく。
しばしの沈黙の後、ティエザがおずおずと口を開いた。
「あの……僕はどうしたらいいですか?」
「ちょうど良い機会だ。私と会話してもらおう」
「うえええええ!!!???」
素っ頓狂な悲鳴が響く。
「たしか、名はティエザと言ったな」
「は、はい!」
「そう恐れるでない。取って食おうというわけではない」
「ティエザさん。リラックスリラックス」
タフィスに励まされながら、彼は必死に深呼吸を繰り返す。
「ティエザは、なぜ兵士になったのだ?」
「え、ええと……昔から父の影響で剣を習っていたんです。父には、いつか兵士になってくれたら嬉しいって言われてて……」
「そうか。……君の父はどのような人物だ?」
「元王国の兵士長です。今のルエン兵士長の先代で、この地の礎を作った人なんです。昔は原住民がいて、そこから土地を守ったって」
「その話、私も聞いたことあります」
タフィスが頷く。
「ハンター長さんが罠で援護していたとか」
「ほう」
ゴルゴンはしばし黙り込んだ。
――あの時の息子の目は、このように輝いていただろうか。
思い出しかけて、首を振る。
「……考えても仕方ないな」
「え?」
「いや、なんでもない。父を大事にするのだぞ」
「はい!」
素直な返事を聞きながら、ゴルゴンは小さく目を細めた。
建築の合間にティエザの父の話を聞き、自身の息子、スキアについて思う。
でも、ゴルゴンの中では、まだ完全に整理が付いてない模様。
この思いは、どのような結末を迎えるのでしょうね?




