063、想いを継ぐ
筆者執筆AI加筆
ヒサメ「こちらが本殿です。普段、妖狐様が活動するときはこちらを使います」
「そうか。では……」
スキアは目を閉じ、一礼する。
ヒサメもそれに倣ったが、視線はスキアを追っている。
「……」
(スキア様、こんなにも逞しくなられて……)
「ヒサメ殿」
「は、はい!? 何でしょう?」
スキアは疑問を口にした。
「君はなぜ、縫界衛士に?」
ヒサメはその問いに、空気が少し冷えたのを感じた。
「……私は、この世界の人じゃないんです」
スキアは黙ってヒサメを見つめる。
「私がいたのは、“終わった世界”。そこから命からがら逃げてきたんです」
スキアはじっとヒサメを見つめた。
「私にとって、この国は“救い”なんです。だから、少しでも役に立ちたかった。そんな時に、チェルシーがやってきた。最初は警戒した。でも、彼女は私の背負ったものを一緒に背負ってくれた。だから、彼女のためにも、縫界衛士になろうと決めたんです。一応、修復師としても活動できます」
スキアは歩み寄り、ヒサメを抱き寄せた。
「ふえ!? スキアさん!?」
「よく生きていた。君は“終わった”世界と言ったな。君がいれば、そこは“思いを継いだ”世界になる。君はこの世界の助けとなると同時に、その世界を“助けた”。胸を張っていい」
「……」
(なんて優しい言葉……。あの人とは違う。でも、あの人以上に……)
「私は、世界を救おうと思っている。だが、それは何もこの世界だけではない。裂け目の向こうの世界も、救いたい。……こんなことを言う私は変か?」
「そんなことありません。とても素晴らしい心がけです」
ヒサメの本心は揺るがず、心からそう思っていた。
スキアは体を離すと、自然とヒサメの手を取る。
「ヒサメ殿。案内の続きを頼む」
「はい。後、『殿』は要りません。ヒサメ、とお呼びくださいまし」
「そうか。では、ヒサメ。よろしく頼む」
「はい」
本殿では三人の人影が、二人の様子を見守っていた。
「もうニヤニヤしちゃうじゃない。ヒサメ、やるわね」
「兄さんが朴念仁じゃない……。別人過ぎる……」
「あの子もあんな表情するんやねえ。初々しいではないか」
「妖狐様もヒサメのあーいう表情を見るの初めてですか?」
「30年以上見てきたが初めて見せる表情じゃ。恋とは良いものじゃな」
「妖狐さんも話が分かる。このまま二人にはくっついてもらおうよ」
「せやな。あの子には幸せになってもらいたいからの」
「スキアが抱き寄せた時は声上げそうで危なかったわ。あれは、惚れる」
「兄さんも絶対まんざらじゃない。私が保障する」
「さて、頃合いを見て会いに行くとするかの。それが本来の目的じゃからの」
「ここで見てたことは三人の秘密ね」
「無論」
「当然じゃ」
スキアの懐の広さを感じさせますね。裂け目の向こうからの生き残りを、逃げたではなく、世界を救った。
そう表現するのはきっとスキアしかいないでしょう。それをヒサメにやってのけるの、流石です。
ヒサメも過去のスキアより現在のスキアを見ているかもしれませんね。




