057、狐火和国の裁定
AI作成セリフ筆者
妖狐は目を細め、静かに二人を見据えた。
「なぜ、エレンはこの地を訪れようと思った?」
エレンは正座のまま、声を落ち着けて答える。
「ゆがみの調査をするエレシィの考えに沿い、またチェルシーとは友の関係ゆえ、他に情報もなくこの地を選びました」
妖狐は軽く頷く。
「分かった。タイラントはなぜついていこうと思った?」
タイラントは妖狐の目をまっすぐ見据え、迷いなく答えた。
「エレシィがアングリアでゆがみを強引に調査しようとしているのを見て、このような無茶を狐火和国でやりかねないと思いました。いざという時は、僕が動こうと思い、同行することに決めました」
妖狐はしばらく沈黙して考え、ゆっくりと口を開く。
「左様か。では、エレン。今回の出来事、どう責任を取るつもりだ?」
エレンは視線を落とさず、静かに答えた。
「エレシィが何をしようとしていたか、そしてなぜこのような形になったかを、セントビア王国、ナスティア村に包み隠さず報告します。その上で、罰が与えられるなら謹んで受けようと思います」
妖狐は短く息を吐き、タイラントに目を向けた。
「タイラントは今回の出来事の後をどう過ごすつもりじゃ?」
タイラントは少し言葉を選ぶように間を置き、やがて答えた。
「少なくとも国には帰れません。おそらく大罪人として処刑されてしまうでしょう」
「だろうな」
妖狐は静かに頷く。
そして、数十秒の沈黙を経た後、口を開いた。
「エレンよ。そなたはこのまま港へ向かい、アングリアの船を待って出発するのじゃ。その足でセントビア王国へ行くとよかろう」
「かしこまりました」
エレンは深く頭を下げる。
「タイラントは、この国で身柄を預かる。農業、商業、芸能、自警団……好きな道を選べ。ただし、必ず働くこと。それは約束じゃ」
「ありがとうございます」
タイラントは小さく礼をする。
「以上をもって、かの魔術師の処罰は終わりとする。ライもそれでよいな?」
ライは肩をすくめ、淡々と答えた。
「もとより、政治に口出しするつもりはないさ」
妖狐は微笑んだ。
「ライならそう言うと思ったよ。では、行くがよい」
エレンとタイラントは頭を下げ、本殿を出て行った。
二人を見送り、妖狐は深く息をつく。少し嬉しそうに、顔をほころばせた。
「しかしヒサメはよう気が付いたのう。入港前にはすでに魔術師が危険であることを察しておった。国を外部から守ることに関しては、ヒサメの方が上かもしれんの」
ライは肩をすくめて応じる。
「たしかに。『これから来る者は災いを呼びます』だもんな。来ることは分かっても、危険かどうかは様子を見る必要があると思った」
妖狐は軽く笑い、冗談交じりに言った。
「ヒサメは本当によう働いておる。今度、鯛でもプレゼントするかの」
ライは肩をすくめて返した。
「捌くのはヒサメだけどな」
二人のやり取りを眺めながら、妖狐は再び目を細める。
安堵とわずかな誇りが、その微笑みに宿っていた。
エレン、タイラントの処罰が決まりました。エレンは簡単な国外退去要請。
一方タイラントは労働の強制こそあれど選択は自由。
紫妖狐の懐の深さを感じる裁定になったようですね。




