055、向こう側の気配
筆者半分AI半分
社の奥にて、チェルシーは服を着替えながらヒサメに尋ねる。
「ヒサメ。あの人たち、無事かしら?」
ヒサメも軽やかに着替えつつ、落ち着いた声で応じる。
「おそらく、エレシィと言った魔術師は無理でしょうね」
月詠は二人に背を向けながら、耳をすますように言葉を重ねる。
「ふむ。他の者たちの気配が一気に消えたな。妖狐様も容赦がない」
チェルシーは周囲を見渡し、視線を動かす。
「あ、ほんとだ。それにライさんも既に動いてるわ」
ヒサメは眉をわずかに寄せ、納得した様子で頷く。
「エレンが少々厄介そうだからね。ライさんが動くのも当然か」
月詠の耳がぴくりと動く。
「うん? あの宝剣を持つ剣士の気配……妖狐様と同じだな。小さいが、世界を背負うような気配だ」
ヒサメは言葉少なに微笑む。
「やはり、あの子は他の者とは違うようね」
チェルシーの目が鋭くなる。
「あ、また一人気配が消えた。……いや、これは」
月詠は静かに頷き、風のような声で告げる。
「ああ、やったな」
ヒサメの目が少し細くなる。
「妖狐様じゃないわね。これは、宝剣の子、タイラントね」
チェルシーは肩をすくめ、柔らかく呟く。
「さて、どう動くかな……他の者たちは」
月詠は背中越しに答える。
「そのエレン次第だろう。他に干渉できる者はおらぬ」
ヒサメは腕を組み、視線を前方に定める。
「向こうから来た者の動きは見ものね」
月詠がそっと二人に問いかける。
「ところでお二方……」
チェルシーが振り返り、目を細める。
「なに?」
ヒサメも軽く首を傾げる。
「殿方の前で着替えるのは控えていただきたい。その……目のやり場に困る」
チェルシーはくすりと笑い、肩をすくめる。
「なに~、照れちゃってるの~?」
ヒサメは淡々と身支度を進めつつ、月詠をちらりと見て微笑む。
「別に、あなたになら見られても気にしませんわ」
月詠は顔を背け、耳をわずかに動かして溜息をつく。
「まったく……修復師らしく、もう少し慎みを持っていただきたいものだ」
三人のやり取りは、社の静けさの中で微かな温度を生む。
外の世界では緊張が続いているが、ここではただ、互いの呼吸と目線だけが確かに交わされていた。
チェルシー、ヒサメ、月詠の3人の会話です。月詠さんの前でお着替えする二人。
会話はどうやら先ほどのシーンの気配を感じ取っているようですね。
ちなみに月詠さんは普段から一緒の部屋ではありますが、二人が着替えている時は外に出ます。
今回は非常時のため彼女たちのそばにいました。それでこのシーンになったわけですね。




