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ラスティア群像劇~第2章~  作者: niseimo38
第3章~王国を巻き込むゆがみ事情~

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054、タイラントの決断

筆者半分AI半分作成

夕暮れ前、社の前に到着した一行は、立ち込める緊張と共に足を止めた。


「さて、どうしたものかしら……。ほっとくわけにもいかないし……」

ヒサメは深く息をつき、眉をひそめる。


「これは妖狐様に聞いた方がよろしいのでは?」

月詠の声には、リスの獣人らしい慎重さが混じる。


「賛成。ついでにこの旅行者さんたちも連れていこう。私たちだけじゃ判断できないわ」

チェルシーが言うと、ヒサメは困惑した様子で頷いた。


「そうね。やれやれ、困ったものだわ」


エレンは小さく息をつき、口を開く。

「どうやら私たちも行くみたいだな」


「みたいね。しかし、良いモノが見れたわ」

エレシィの瞳が興奮で光る。


「こんなこともあるんですね」

タイラントは肩をすくめる。


「みんな! とりあえず指示に従って動くわよ!」

フラワリングの号令に、真夏の蝉時雨の面々がそれぞれ返事を返す。


社の奥へと進む一行。真夏の蝉時雨の面々は、社の中を珍しそうに見回した。


「ただいま帰りました」

ヒサメが静かに告げると、ひらりと九つの尾を持つ狐の人が現れた。


「ご苦労さん。内と外の来訪者も連れてきたようだね」

妖狐の声は柔らかく、しかし圧倒的な存在感を帯びている。


「ええ。対応をどうしたらいいか分からなかったので」

チェルシーは少し緊張した様子で答えた。


「ええのよええのよ。この子らの相手は私がするから、あなたたちは奥で休んでおくれ」

妖狐はひらひらと手を振り、微笑む。


「ありがとうございます」

月詠は深く頭を下げ、チェルシー、ヒサメと共に奥へ退く。


残された一行の前に、妖狐が優雅に座し、九つの尾を揺らした。


「さて、まずは自己紹介と参りますかのう。私は紫妖狐。御覧の通り、九尾の狐じゃ。この国の修復師もしておる」


「私はフラワリング。ギルド――」

妖狐は手を振る。


「ええの、もう知っておるからの。そちら12名が『真夏の蝉時雨』で、そちらの3人が今回の旅行者やね」


「話が早くて助かる」

エレンが呟く。


「全部筒抜けって、何か監視されてるみたいで気分が悪いわね」

エレシィは眉をひそめた。


妖狐は静かに、しかしその眼差しは鋭い。

「まずはそこの魔術師。そなたは、裂け目を見てどう感じた?」


「私ですか? そうねえ……大きな危険はなさそうに感じたわ。しかも裂け目を塞ぐ存在がいるなら、ゆがみを思う存分利用しても問題ないと思うわ」

エレシィの口調は軽やかだが、妖狐は表情を変えなかった。


「そうかそうか……ゆがみを思う存分利用しても問題ないと思うか」

妖狐の声には、抑えきれぬ圧力が宿る。


咄嗟にエレンがエレシィを突き飛ばす。

「ぐっ!?」

その場にあった空間に斬撃が走り、エレンの立っていた位置に届く。


「エレンさん!?」

タイラントの声が震えた。


「くっ……大丈夫だ。致命傷は避けた……うぐっ!」

エレンは息を整えながらも、戦況を見極める。


「今治します!」

セレスチアが駆け寄るが、エレンは首を横に振る。


「いや、いい……はあ、はあ。とりあえず、理由を聞こうか」


妖狐は静かに語る。

「どうもこうも、危険を排除しようとしただけだぞえ」


「また私を危険分子扱い……。一体何が不満ですか?」

エレシィは妖狐を睨みつける。


妖狐の体から、圧倒的な殺気がほとばしる。

「そなたの思想は"この世界"には不要じゃ。ゆがみを思う存分利用する?

世迷い事を申すな!!!!!」


その瞬間、真夏の蝉時雨の面々のうち、フラワリングとモンテを除く十名が次々に気を失った。


エレンは息を整えながら、低く呟く。

「殺気だけで気をやるか……恐ろしく強い気だ」


「え、そんなに殺気がすごかったんですか? 僕は何も感じませんでしたが……」

タイラントは首を傾げる。


「お前はどうやら彼女に"認められた"ようだな」

エレンの目は真剣そのものだ。


「そうなんですか。ところで、この状況……どうしますか?」

タイラントが静かに尋ねる。


「すまんが、私は下手に動けない……怪我もあるし、さっきから私を"気"だけで抑えている存在がいる。あれは、逆らってはいけないモノだ」


タイラントは深く頷き、剣を手に取る。

「なるほど……大体状況は把握できました。エレンさん、以前僕に言いましたよね。純粋な僕の意見が知りたい、と」


「ああ、そう言ったな」

エレンの眼差しは揺るがない。


「では……答えをお見せします」

タイラントは静かにエレシィのそばに立つ。

その目には、これまでの観察と判断のすべてが映されていた。


「……ここで、私が止めなければならない」


一瞬の隙を突き、鋭い斬撃が迫る。

タイラントは迷わず振るい、その刃は仲間の安全と世界の秩序のための断罪として、空間を切り裂いた。


エレンは息を詰める。

タイラントの覚悟は、怒りではなく確信として、社の空気に重くのしかかる。

エレシィはその場に倒れ、静寂が社内を包んだ。


全員の視線が、タイラントの決断と覚悟に集中する――緊張と恐怖の中、誰もがその意味を理解していた。


タイラントは過去の出来事からエレシィが世界に危険を及ぼすと断定しています。

そして、彼は決断した。

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