052、一触即発
筆者半分AI半分作成
港町に降り立った一行は、街の活気を目にして胸を弾ませた。だが、エレンの表情は警戒を緩めない。
「やはりな」
エレンの声は低く、静かに港町を見渡す。するとどうだろう、人々が自然に、しかしどこか異様な形で建物の中や繁華街へと吸い込まれていく。しばらくすると、港はほとんど無人のようになった。
「なんか、急に静かになりましたわね」
エレシィが眉をひそめる。
「エレンさん。こんなに一斉に家にこもることってありますか?」
タイラントが不安げに尋ねる。
「いや、ない。間違いなく、人払いの魔術だ」
エレンの答えに、タイラントは納得したようにうなずく。
「やはりですか。なるほど、歓迎されていないようですね」
「いいじゃない。ゆがみが調査しやすくなったと思えば」
エレシィは冷静に前向きな解釈をした。
しかし、エレンの瞳は前方に釘付けだった。
「……誰かくる。それも、強いやつが」
港の通りに、二人の人物の影が浮かんだ。
「エレンさん、お久しぶりです」
チェルシーの声に、エレンは目を細める。
「チェルシーか! 強い気配がしたから誰かと思ったが、君だったのか!」
「前に私たちの村に来た旅人さんじゃないですの」
エレシィが確認する。
「ヒサメ。この人なら大丈夫。私の友だちだよ」
チェルシーの言葉に、ヒサメはエレンの方をちらりと見た。エレシィの方に視線を向けると、そこにはほんのりと殺気が宿っていた。
「チェルシー。ここでゆがみの調査をしたいんだが、可能か?」
エレンは問いかける。
「んー、エレンの実力なら問題ないけど、後の二人は命の保証はできないわよ?」
チェルシーは慎重に答える。
「大丈夫よ。自分の身は自分で守りますから」
エレシィは動じず。
「僕のことは気にしなくて大丈夫です。何かあったら捨て置いていただければ」
タイラントも落ち着いて返す。
しかし、ヒサメの瞳は鋭く、エレシィを睨みつける。
「悪いけど、そこのあなた。あなたは来てはダメ。いや……ここで始末すべきかしら」
エレンの顔から笑みが消え、ヒサメを真っすぐに睨み返した。
「どういうことだ?」
「この人は、災いしか生まない。生かしておけばどこかの国が滅びる」
ヒサメは符を取り出し、構える。
「ヒサメ、ストップ!」
チェルシーが叫ぶ。
「なに?」
「まずは名前を伺いましょうか。私はチェルシー。この国で修復師をしているわ」
「エレン・グランツ。今回はセントビアの代表としている」
「エレシィよ」
「タイラントです。とりあえず僕は、両手を上げて降参しますね」
「……雨宮ヒサメ。お見知りおきを」
ヒサメの声に緊張が漂う。
「それで? ヒサメとやら。私の仲間に手を出すなら、例え敵わないとしても傷の一つはつけさせてもらうぞ?」
エレンの剣の眼差しがヒサメに向く。
「どうぞご自由に。その時はあなたも始末するだけですから」
ヒサメも譲らない。二人の間に、一触即発の空気が張り詰めた。
「ちょっとヒサメ!」
チェルシーが必死に止めるが、ヒサメは首を振る。
「止めないでチェルシー。私はこの国を守る義務がある」
その瞬間、今まで静観していたタイラントがゆっくりと剣を上げ、エレンの頭を軽く小突いた。
「ん? なんだタイラント?」
「そこまで。喧嘩腰じゃ交渉なんてできませんよ。ヒサメさん、ごめんなさい。もし入国できないのなら、船が来たら帰りますので、見逃してはくれませんか?」
ヒサメは少し驚いた様子でタイラントを見る。
ヒサメ「……」
タイラントの目をじっと見るヒサメ。
「……分かったわ。彼に免じて、この場は見逃してあげる。でも、もし何か良からぬことをしたら、その時は容赦なく殺すわ」
「……ふん」
エレンは小さく鼻で笑い、緊張の糸を少しだけ緩めた。
「とりあえず、滞在許可は下りたわね」
エレシィがほっと息をつく。
「ヒサメさん、ありがとうございます」
タイラントは深くお辞儀をした。
港町の静けさの中、緊張感と警戒が残るまま、一行は狐火和国での滞在を始めることになった。
ヒサメさんはエレシィのゆがみの利用法を察知して始末しようとします。
ヒサメの中で彼女は間違いなく”敵”認定されています。そうなるとヒサメは容赦しません。
国を守ることに全力を注ぐ彼女だからこそ、”敵”を排除するために動くのです。




