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ラスティア群像劇~第2章~  作者: niseimo38
第2章~和美とイザヨイ、二人の神童~

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038、桜、咲き誇る

AI作成

朱雀町に春の光が差し込む朝。ソメシノは小屋の扉を開け、澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込んだ。

目の前には、小屋のそばの木に淡い花が咲いている。若々しい桜の花びらが、朝の光に透けて輝いていた。


ソメシノは思わず足を止め、花を見上げる。

ソメシノ「……この花は……」


ふと横を見ると、秀一も目を細めて同じ花を見つめていた。

その静かな視線の先には、柔らかく光る花びらの一つひとつが、まるで町の春を告げるかのように揺れている。


一番が慌てた様子で駆け寄る。

一番「おい、秀一! 町中が見たことない花が咲いてるって騒いでるぞ!」

秀一は花を見つめたまま、静かに微笑む。


ソメシノは小さく首を傾げ、秀一に尋ねた。

ソメシノ「……この花、知っていたのですか?」

秀一はゆっくりと顔を上げ、答えずにただ笑った。その微笑みには、町の人々やこれから始まる季節への優しい慈しみが込められていた。


桜の花びらが、春風に舞う。ソメシノは胸の奥で、わずかに温かいものが広がるのを感じた。

この町で、初めて見る春――そして、自分が守るべき日常が、確かにここにあることを。


ソメシノは小屋を後にし、そっと町の通りへと歩み出す。

通りでは、朝の光に照らされた人々が忙しなくも穏やかに動き回っていた。野菜を運ぶ老人、子どもたちの笑い声、井戸端で話す人々――それらすべてが、この町の息づかいを伝えている。


「あ、おはようございます」

ソメシノが軽く会釈すると、道端の人々は少し驚いた表情を見せながらも、笑顔で返してくれた。彼女はその瞬間、初めてこの町で自分が受け入れられている感覚を覚える。


小さな広場に差し掛かると、桜の木の下で数人の子どもたちが遊んでいた。花びらが舞い落ちる中、無邪気に手を伸ばしてつかもうとする姿に、ソメシノの胸は温かくなる。

彼女はそっと木に近づき、指先で一枚の花びらを摘むと、掌でそっと包み込んだ。

ソメシノ「この町にも、こんな優しい時間が流れていたのですね……」


その時、微かに裂け目の気配を感じる。しかし、それはごくわずかで、まるで春の風に押し流されてしまいそうなほどの小ささだった。

ソメシノは深呼吸し、静かに力を注ぐ。掌から淡い光が溢れ、裂け目は自然に閉じていく。光景を見た町の人々は何が起きたのか気づかない。だが、ソメシノ自身は、町の平穏を守る一歩を確かに踏み出したことを感じていた。


広場を過ぎると、町の小さな商店の前に立ち止まる。扉を開け、棚に並ぶ果物や日用品を眺める。

ソメシノ「この町で暮らすということは、こうして小さな日常を積み重ねること……そして、何気ない日々の中で、世界を守ることでもあるのですね」


桜の花が再び風に揺れる。ソメシノは笑みを浮かべ、花びらをそっと風に任せる。

その瞬間、彼女は気づく。ここが、守るべき自分の居場所だと。


そして、小さな声でつぶやく。

ソメシノ「今日も、この町の春を大切に……」


穏やかな日差しの下、朱雀町の春は、修復師としての彼女の日常と奇跡を優しく包み込んでいた。


春が訪れ、小屋の木に花が咲く。それは、場違いに一本だけ佇む河津桜。

ソメシノは気づき、穏やかに見つめる。秀一も知っていて、静かに見つめる。

この河津桜は、敬三が目印にしていた木。

なんの目印か、て? それはきっと、ソメシノへの目印でしょうね。

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