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ラスティア群像劇~第2章~  作者: niseimo38
第2章~和美とイザヨイ、二人の神童~

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037、ただいまじゃなくてこんにちは

筆者執筆、一部AI作成

朱雀町の入り口が視界に入ると、卯月はにっこり笑った。

卯月「見えてきたねえ、ソメシノさん。あれが私たちの故郷『朱雀町』よ」

ソメシノは少し息を呑んだ。

ソメシノ「活気があって、良い街ですね」


和美とイザヨイは、幼いころの記憶と重ね合わせるように、緊張した面持ちで街並みを見つめる。


卯月は後押しするように声を掛ける。

卯月「和美、イザヨイ。きっと大丈夫」

和美「……うん」 イザヨイ「……」

和美は控えめに頷き、イザヨイもそれにならう。


源三郎が大きな声を上げる。

源三郎「ん? お前たち!? 帰ってきてくれたのか!」

卯月「やあ、ただいま」

和美「ただいま」

源三郎はにっこり笑いながら彼女たちに言う。

源三郎「おかえり。卯月、和美、イザヨイ。よく帰ってきてくれた。お前たちがいなくなってから、明奈さん、ずっと泣いていたからな」

卯月は肩をすくめて続ける。

卯月「まあいきなり幼い娘が家出したら泣くわな」

源三郎「ちげえねえ」

そこまで話すと、源三郎はソメシノに視線を向けた。

源三郎「そちらのべっぴんさんは誰だい?」

ソメシノ「初めまして。ソメシノと申します」

源三郎「どうも。私は桂源三郎。専任剣士をしている」


卯月は少し困った顔で肩をすくめる。

卯月「さて、と。帰ってきたはいいけど、私たち、住む家ないんだよね。どうしよう?」

源三郎「ちょいと待ってな。秀一に話をしとくから」

卯月「お、ありがとな」

源三郎は頷き、秀一に連絡を取りに行く。


明奈の声が震える。

明奈「和美! ほんとに和美なの!?」

和美「お母さん、ただいま」

明奈「全く、どれだけ私が心配したことか……」

秀一は静かに迎える。

秀一「和美。おかえり」

和美「お父さん。ただいま」

橘花子はソメシノや和美の姿を見てもそっぽを向いたままだ。

「……フン!」


秀一は深く息をつき、和美たちを順に見渡す。

秀一「さて、源三郎から話は聞かせてもらった。住む場所がないそうだな」

卯月「はい、私たち――」

秀一「本当に、住む場所はないのかい?」

卯月「え?」

卯月は思わず言葉に詰まる。

「そこの新しく来た方は別として、お前たちには帰る場所があったろう? そこに戻らないのかい?」

卯月「……私もそれを考えてました。でも、和美は、家じゃ居辛いだろうし、イザヨイも気まずい。私だって、家族の反対を押して飛び出したんだ。それに、ソメシノさんがいる。みんなの面倒を見るには、私たち4人が、一緒に暮らさないといけないと思うんだ」

秀一は鋭く卯月を射抜く。

秀一「この町に戻ってきて、家族と鉢合わせしても、気まずくないと?」

卯月「うっ……。それは……」

卯月はたじろいだ。

和美「お父さん、怒ってる?」

和美は不思議そうに父、秀一を見つめる。

秀一は和美の言葉には返事を返さず、毅然とした態度で告げる。

秀一「和美、イザヨイ、卯月、そして、ソメシノさん、だったかな。町の長代理として聞く。家族に戻らず、それでもこの地で暮らす、その覚悟は、どこからきている?」

ソメシノが口を開く。

ソメシノ「それは私がお答えします」

秀一「ほう、あなたが……」

秀一は目を細めてソメシノに向き直る。

ソメシノ「私は、和美、イザヨイに心を救っていただきました。和美はこの地に傷があるように思います。私は彼女の傷を直すためにこの地に来ました」

秀一「ふむ。和美は?」

和美ははっきりとした口調で伝える。

「ソメシノさんとこの町を守るため」

秀一「イザヨイは?」

イザヨイは迷いなく答える。

イザヨイ「和美を守るため」

秀一は卯月に視線を移し,問う。

秀一「では、卯月は?」

卯月は小さく微笑む。

卯月「私は……。うん。私は、彼女たちを見届けるため」

秀一は鋭く彼女を見て再び問う。

秀一「何を見届ける?」

卯月は穏やかに伝える。

卯月「彼女たちが”らしく”生きるのを」

秀一は視線を外さず、更に問う。

秀一「では、卯月よ。それを見届けたら、どうする?」

卯月は肩をすくめて答える。

卯月「その時は、素直に家に帰るさ。だって、私がいなくても”らしく”生きてるんだから」


秀一は静かに息をつき、深く頷いた。

秀一「そうか……。お前たち。よく成長したな」

卯月「それじゃあ!」

秀一「豪華なのは作れない。簡素だが、小屋を仕立てるとしよう。一番さん」

町に戻る準備の話になると、秀一は一番に目を向ける。

一番はにやりと笑う。

一番「お、やっとオレっちの出番かい。全く、すぐに孫を抱かせろよなあ」

秀一は申し訳なさそうに謝る。

秀一「すみません。でも、町を勝手に出ていった彼女たちの覚悟を問うのは、町長の責任ですから」

一番「他の奴らはまだ覚悟が決まってないやつばっかだ」

一番は胸を張って告げる。

一番「だが、敬三と並んでこの地を作ってきた俺には、敬三が守ったこの子らをちゃんと育てる義務があるってもんだ」

イザヨイ「おじいちゃん」

イザヨイは家族がここまで思っていることを初めて知った。

一番「それで、どこに小屋を建てるんでい?」

秀一はソメシノの方をちらりと見た。

秀一「あの木の近くに建ててくれ」

一番は眉をひそめる。

一番「あん? あんな枯れ木のそばにか? 花が咲く木なら他にあるだろう?」

秀一「いや、あそこ“が”いいんだ」

一番「分かったよ。お前ら。3日待て。それまでは悪いが野宿な」

卯月はにっこり笑う。

卯月「準備はしてありますよ」

一番は肩をすくめた。

一番「なら話は早い。最高速で建ててやるからよ」


朱雀町の木漏れ日の下、ソメシノ、和美、イザヨイ、卯月の4人は、新しい生活の始まりを胸に秘め、未来へと一歩を踏み出した。


秀一は和美たちが出ていった後、沈んだ村を盛り上げるべく奮闘し、また敬三の後を継ぎ町を取り仕切っていました。彼からしてみれば、和美たちは娘である前に村を沈ませた厄介者です。

だから、厳しく覚悟を問いただしました。彼なりの責任のあり方です。

そして、認めた。彼女たちは、ただの厄介者ではない。町のことを考えて出ていき、帰ってきた者だと。

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