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ラスティア群像劇~第2章~  作者: niseimo38
第2章~和美とイザヨイ、二人の神童~

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33/83

033、サクラの正体

AI半分、筆者半分

南西の裂け目の調査に向かってから約一週間。

サクラは日に日に元気を取り戻していたが、記憶はほとんど戻らないままだった。

そんなある日、彼女の唇が震える。


「感じる……。行かなきゃ……」


誰も止められぬまま、サクラは荒野の空気の中に消えていく。

その姿を目撃したのは、イザヨイだけだった。


「……ごめん、和美。ちょっと行ってくる」

そう告げ、イザヨイは無言で追う。


荒野の砂煙が風に舞う中、サクラはまるで導かれるかのように足を運ぶ。

「サクラさん、どこ行くの?」イザヨイが声をかける。

「私が……やらないと……」

その声はまるで自分自身に向けた呟きのようで、外界には届かない。

イザヨイは黙って後を追い、距離を保ちながら彼女を見守った。


やがて、視界の奥に不安定に揺れる時空の歪みが現れる。

「サクラ。もうすぐ、ここ、裂ける。逃げなきゃ」

「私が……やらないと……」

サクラは言葉を遮るように、淡々と歩みを進める。

イザヨイの心臓は早鐘のように打つ。


その瞬間、歪みは裂け目へと変貌し、周囲の空気は波打った。

「どうしよう……。誰もいない……」

裂け目の向こう側から、無数の飛来物が迫る。

イザヨイは咄嗟に判断する。

「考えるのは止め! まずはサクラを守らなきゃ!」


サクラは足を止めることなく詠唱を始める。

裂け目の揺らぎが少しずつ収まり、砂の空気が再び落ち着きを取り戻す。

だがその時、巨大な岩がサクラに向かって飛んでくる。


「これを、斬る!」

抜刀一閃、イザヨイの刀が岩を裂いた。

だが、岩は半分になった状態でサクラに迫る。

「まずい! サクラ!」

イザヨイは判断を誤った。粉々になるまで切り刻むべきだったと。


間に合わない!


イザヨイは思わず目を瞑った。


時間が止まったかのように感じられる数秒間。

目を閉じたイザヨイの心臓は、恐怖と焦燥に締め付けられる。


そして目を開けると――和美がそこに立っていた。

「和美!? なんで!?」

「イザヨイが、呼んでる気がした」

「和美……! 助かる。立て直すよ!」

「うん!」


二人は無言でサクラめがけて迫る飛来物に対応する。

イザヨイは勢いを殺し、和美は粉砕しながら破片を散らす。

迫る危機は、二人の連携によって次第に収束した。


やがて裂け目は完全に閉じ、空気は静けさを取り戻す。

「……ふぅ。もう大丈夫みたい」イザヨイが深く息を吐く。

「そうだね。それより、サクラさん!」和美が駆け寄る。


サクラは立ち尽くし、瞳は遠くを見つめている。

そして静かに呟く。

「私の名は、”ソメシノ”。裂け目を直す者」


和美とイザヨイは顔を見合わせ、互いに頷いた。

「ソメシノさん! 裂け目直ったよ!」

「……え?」サクラは初めて反応する。

「ソメシノさん! 裂け目直せるんだ! すごいね!」

「だって、それが私の使命――」


「まるで神話に出てくる修復師さんみたい!」和美が目を輝かせる。

「……そのように感謝されたのは、初めてです」

「神話の修復師さんってすごいんだよ! 世界中の裂け目を縫い合わせちゃうんだ!」イザヨイが続ける。

「ソメシノさん、その修復師さんそっくり! すごい!」


その瞬間、ソメシノの瞳から溢れた涙が頬を伝った。

「ありがとうござい、ま、す。あれ、なんで、私、涙が……」

「大丈夫? ソメシノさん?」

「……うぅ。……ひっく。うあああぁぁぁぁ!!!」


長い沈黙の後、荒野の裂け目の前で、ソメシノは初めて心の底から涙を流した。

まるで、背負っていた何かを、下ろしたかのように……。


サクラ、改めソメシノさん。彼女はどうやら修復師としての素質があるようです。

なぜ、裂け目からやってきた彼女が修復師のようなことができるのでしょうか?

謎は深まるばかりですね。

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