第五話「ソクシマホウ……?」
教室に戻ると、そこは教室と呼ぶにはあまりにも崩壊していた。
窓ガラスは全て割れ、黒板はガラスの擦り傷。壁紙として貼ってあった「仲良くしましょう」などの紙類も吹き飛ばされたのか跡形もない。
「魔法少女フルーツ……何者だったんだ?」
気付けばそう口にしていた。
教室の時計を見ると12時30分。今は昼休みのようで教室内では陽気なグループがはしゃいでいた。
「やっぱりあれは即死魔法だよ。ほらなんだっけ……アバラン?」
典型的な宇宙人の顔を持つ人型の生命体がそう言うとそれに答えるのは全長30cm程の黒い球体の生命体。
「アビラス……だろ?」
「そうそれそれ。伝説の魔法」
伝説の魔法……?
気になるな。俺は話しかけてみた。
「伝説の魔法ってどういうこと?まさかあのフルーツがそれを使ったってこと?」
二人は俺の方を見る。そして陽気に答えた。
「お、新入り!そうそう。あのフルーツって奴は間違いなくそれを使ったと思うな。じゃなきゃあの威力の魔法の説明つかねぇ!」
宇宙人がそう言いそれに対して黒球は頷いた。
だが、それを否定する者が現れた。
「いや、その可能性は無いとは言わないけど低いな」
アボガドだった。お前かよ。
「どうしてだい?」
アボガドはコホンッと咳払いをして説明を開始する。
「フルーツは魔法少女と名乗っていた。"魔女"ではなく"魔法少女"が複雑な魔法を使えるはずない。ましてや伝説の魔法アビラスなんて……」
それに対し二人は我に帰るようにハッとして答えた。
「た、たしかにな……」
そして続けて話し出すのは黒球。
「だが、あの威力の魔法を魔法少女が使えるのか?前代未聞だぞ……しかも相手はナイトメア・超。S級5人でようやく勝てるかどうかの次元の相手だったんだぞ?」
「数ある可能性の中で一つそれを実現できるかもしれない……」
アボガドが冷静にそう言い二人は首を傾げる。
「『圧倒的な魔力』を持つとか……?あるいはアイアン・シュガーからこれは関連付けたけど『圧倒的な肉体』を持っている……とか?」
「いやいや後者はありえねぇだろww魔法少女詐欺じゃん」
俺がそう笑ったその時、先生が入ってきた。
そろそろ授業開始か。
「俺はウチュウ・ジン」
「俺はブラック・ホール」
こんな時間ギリギリで自己紹介するのか……
困惑しながら俺も言う。
「改めてチキュウ・ジンだ」
☆☆☆☆☆☆
クラスの担任《クラスルーム先生》は突如として教卓の前でクルッと周りクラスメイト全体に告げる。
「では、自己紹介ターイム!チキュウ君にみんなで一人ずつ簡単な自己紹介を!はい番号順!」
金髪と眼鏡を掛けた姿が似合う30歳くらいの女性の担任だった。
なんか自己紹介のタイミング遅くね……
「魔王城を攻略中、気付いたらこのクダモノワールドに来ていてそのまま戻れなくなった勇者になり損なった男。名前は『ああああ』だ。よろしくな」
勇者のような甲冑と王冠を付けた俺と同い年のああああ。
「魔法少女に選ばれたけど本当は魔女に選ばれたかった私、アップル・パイだよー」
なぜか魔法少女に選ばれたのに嬉しくなさそうなアップル。やっぱりこの世界において魔法少女って……
「どうせナイトメアにいつかやられると思ってる、インキ・クサイ……みんな死ぬんだよ……」
ネガティヴが伝染りそうなインキ・クサイ。
「S級ヒーロー目指して特訓の日々!ネッケツ・サン!でもずっとE級!」
冷笑されるために生まれてきたのか?ネッケツ・サン。
その後も続々と個性的な自己紹介が行われようやく最後の一人。
「ピィ……ピィ……!」
ん?
俺は後半から半ば適当に流していたが個性的すぎるやつが最後に来た。
虹色の球体に透明な妖精の羽が生えていて、表情はキュートで目がぱっちりと二つある。
光の粉で作られた天使の輪が頭の上に乗り、サイズはスライムに似ていて小型。
そして何より日本語喋れよ。
「ごめん、通訳するね!」
隣に保護者のように立っていたのはエルフの耳を持つ美少女。ぶ、ぶひ……落ち着け俺。
白く輝く金髪にブルーアイを持ち、天使のような白いローブのTHE・ELF。
「『エルフの森から来たジャンピーだよ。ボクはエルフの森に突如として現れた機械化を企む悪の組織に身体を改造されて半分は機械なんだ。だけど学校には通えるよ!よろしく』」
「……」
俺は黙り込み、エルフの子は咄嗟に話し出す。
「そして私はウナ・マンです。よ、よろしく」
そして俺は倒れた。
次回予告
アボガド「いや疲れ果てて倒れてんのかい!」
チキュウ「俺何回保健室行くんだよ」
イム「保健室大好きですねンルゥ!」
チキュウ「好きじゃねぇよ……」
次回「ネッケツ・サン!」




