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第四話「マホウショウジョ」

 ナイトメア・超は影のような身体を靡かせ、目前の女子学生に言い放った。


「お前が魔法少女だと?ならば……さっさと変身しろ」


 それに対してゆっくりと頷いた後、言葉を発するのはチェリーのような髪型をした女の子だ。


「う、うん。分かった……変身する!」


「来い……俺を楽しませてくれ」


☆☆☆☆☆


「なんか話してるぞ……」

「何が起ころうとしてるんだ?」


 クラス中はざわめき声と先生の「危ないから早く遠くへ避難しなさい」という怒号が響くカオスな空間となっていた。


「やべぇな教室も外も」


 俺がそう呟くとアボガドが焦りながら返答する。


「チキュウ……!見て!右手を空に掲げてる。これは……」


 アボガドは信じられない物を見るかのように言う。


「魔法少女の変身だ……」


「え?」


☆☆☆☆☆☆


《魔法少女チェンジ!》


 その掛け声と共に女の子の身体は青と白の光に包まれる。

 その光の中で踊るように白が目立つスカートのフリルは舞い、カラフルな果物柄の付いた白衣装が彼女を抱擁していく。中央には大きめの白リボン。

 チェリーモチーフのツインテールの毛先は何故か白く点灯し、緑の葉っぱの髪留めが命を宿し本物の葉っぱになり揺れ動く。


「果物彩り世界を香る……!魔法少女フルーツ!」


 最後にそう右目ピースを取った彼女はナイトメアの前に"現れた"。


☆☆☆☆☆☆☆


「魔法少女……」

「フルーツ……?」


 時間が止まったようにクラス中はその変身を夢中で見ていてカオスな空気は静まっていた。


「絶望的だ。今更、魔法少女なんか来たって……」

「相手はナイトメア・超だぞ?魔法少女なんか束になっても焼け石に水だ……」


 俺はそこで違和感を感じる。


「魔法少女が弱い訳ない!勝てるよ!魔法少女ってそういうもんなんだよ……」


 ふと俺は叫んでいた。クラス中の白い目を感じて思わず萎縮したけど。


 な、なんなんだよ……俺そんな変なこと言っちゃったかな。


☆☆☆☆☆☆


 低音の薄汚い声が校庭には地鳴りのように響いていた。


「魔法少女の姿にはなったが魔力を感じない。ふざけてるのか?それとも……」


 そう溜めてナイトメアはつまらなさそうに言い放った。


「お前まさか……魔力がないとか言わないよなぁ?」


蔑んだように見透かしたように超は言う。


「……」


「黙り込んでんなよっ!図星か?ふざけてるのか?」


 半笑いになったナイトメアは魔法少女フルーツを指差す。


「ほら、悔しかったらご自慢の魔法でも打てよ魔法少女!ファイアーとかさぁw」


 調子に乗ったように煽るナイトメアを前にフルーツは右手の拳を構える姿勢になる。そして溜め込むように言う。


「魔法少女……」


「あ?」


「……パンチ!」

 

 その後は刹那の間だった。

 速過ぎる速度のパンチから出る高密度の物理摩擦により赤い波動が突撃部から飛び出し、周囲のグランドの地面は瞬時に凹んでいた。

 当然のようにナイトメア・超は木っ端微塵と化していて学校のガラス窓はその衝撃で全てが割れていた。


「やっぱりこんな魔法少女嫌だなぁ……」


 フルーツは静かに呟いていた。


☆☆☆☆☆☆


「な、何が起きた?」


 ふと目が覚めたらそこは保健室らしい匂いのするベッドだった。


「痛ッ……」


 何故か腕が痛い。ふと腕を見ると包帯でぐるぐる巻きになっていた。少し血が滲んでいる箇所がある。


「どういうことだ?確か、魔法少女のフルーツが登場して、拳を構えたのを見たまでは覚えてるんだけど……」


 すると、ベットのカーテンが開きいつも見慣れた顔が出てきた。 

 そう、アボガドだ。


「大丈夫みたいだね良かった……」


「何が起きたんだ?フルーツは?やっぱり死んだのか?」


「いやそれが……信じられない事が起きたんだ。

魔法少女がナイトメア・超を倒しちゃったんだよね……」


「普通じゃねぇの?魔法少女なんだろ?」


 俺はキョトンとした顔をしていた。

 魔法少女ってそういうもんじゃなかったっけ?俺の記憶……また違うの?


「はっきり言うよ。魔法少女はグダモノワールドにおいて最弱の存在だ。ヒーローという枠組みにも入ってないレベルの圏外の存在だ」


「え……まじか……」


「でもあんな威力の魔法は初めて見た。

最上の三魔女ですらをも圧倒的な差で超えている……彼女何者なんだ?」


「最上の秋刀魚……?てかさ、とりあえずナイトメアは倒されたんだし細かいことは良くね?」


「ま、そうだね。ごめんごめんヒーローオタクが出ちゃってさ」


 アボガドはそう苦笑いをした。


 そして俺はもう一度、思い出すあのフルーツの顔。


「ぶひぃ!w」


「え?」


 一瞬時が止まった。

 

「いやこれは違うんだ、なんか豚の真似したくなったというかぁ」


「はぁ……そう……?」


 アボガドは不思議そうな顔で俺を見てきた。


 なんか興奮したら豚になっちまったんだよ。


「ぶひぃ!wって呪文ですか?ンルぅ!」


「お前居たのかよっ!」


「イムは親分の仲間ですンルぅ!当たり前ンルぅ!ぶひぃ!って言わないんですか?ンルぅ?」


「もうそれを掘り返すなああああ!」


 保健室なのにうるさくなってしまった……


次回予告


アボガド「どういうこと?」

チキュウ「ここにまで持ち込むな!」

イム「ぶひぃ!ンルぅ!」

チキュウ「イム……お前なぁ」

アボガド「まぁまぁ落ち着いて。とにかく次回タイトルは?」


「ソクシマホウ……?」

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