第六話「ネッケツ・サン」
気づけば俺は保健室に居た。
「またかよ……」
起きると保健室の先生がいて(何故か人魚)、あら大丈夫?行ってらっしゃいと言ってくれた。
なかなかぶひぃ枠だ……
「よう転入生!」
ドアを開けるといきなりネッケツ・サンが居た。
びっくりした俺はうおっ!と声を上げ、ネッケツは笑う。
「あのさぁ……ちょっと頼みがあるんだけどさ……」
「ん?」
ネッケツのその真摯な瞳に圧倒される。
「ナイトメア退治に付き合って欲しい」
ネッケツは燃えていた。
その一生は儚く酷くしょうもない。
彼の人生は、一度もE級ヒーローからD級へと駆け上がることはなかったのだ。
だが、今回は違う。本気で上がりたいんだとネッケツは思っている。
いざ、E級からD級へ……!
俺とネッケツは廊下を歩いていた。
外を見ると果物の形をした木が育っていてアップルツリーとでも言うべきか?それが多く並んでいた。
ふと、廊下に生えていた葡萄の大きな実を見つける。
「葡萄じゃん!!頂きます〜」
俺はそれを丸齧りする。
う、うめぇぇぇ!!
そのまま何回か齧って味わっていると……
モシャシャ……
と、音を立ててその葡萄が元通りになる。そして何故かお腹が膨れた気がしない。
「な、なんだこれ……何だったんだ?」
俺は不思議がっているとネッケツがアホを見るような目をして俺に言うのだ。
「エンプティフルーツをそんな美味しそうに食うなんて珍しい奴だな……幼稚園児か?」
「エンプティフルーツ?」
「ああ。食べてもまた生えるし、名前の通りエンプティ。空の果物だよ。満腹にはならない」
「何でそんなのあるんだよ!」
「お前そんなのも知らないの?」
そんな会話をしていたら下駄箱につく。
そして、ネッケツは覚悟を決めた顔をして靴を履いていた。
「待ってろよナイトメア・弱……」
そして数分後、メロン公園。
メロンジュースが流れる噴水が目立つ、そこそこ広い公園。
「待ってたぜ。ナイトメア・弱!!」
そしてネッケツの前にはナイトメア・弱がいる。
どうやらE→Dにクラスアップするには弱を軽々しく倒せるようにならなきゃ行けないらしいが……
大丈夫なのか……?
ネッケツの前に対峙するナイトメア・弱の外見は、強や超のそれとは違く、若干ゆるキャラの様な雰囲気が漂っている。
灰色の毛が目立つウサギ型のナイトメアらしく、サイズは人型よりちょっと大きい位で、ドリルの様な頭のツノが特徴的だった。
なんかあんまり強くなさそうだな……
そう俺が頭の中で呟いたその時、聞き覚えのある声が耳に届く。
《魔法少女チェンジ》
そこにいたのは白の魔法少女服に身を包まれた果物のようなオーラを放つ女の子がいた。
"魔法少女フルーツ"だ。
「……!?」
驚きのあまり俺は言葉を詰まらせる。
ネッケツはそれに気付いてない様子で真剣にナイトメアに向き合っていた。
(これ……フルーツがナイトメアを瞬殺で倒しちゃう流れじゃん)
咄嗟に気づいた俺はフルーツに告げるのだ。
「魔法少女フルーツ。来てくれたところ悪いんだけど、あのナイトメアは倒さないでくれ」
俺が必死に懇願するとフルーツは顎に手を当てて答えた。
「なんで?ナイトメアは倒さなきゃ!」
「いやそうなんだけど!」
こいつぅぅ!!意外とめんどくせぇな。
俺がイライラすると目の前にネッケツが倒れ込んで血を吐いた。
そして、フルーツはそれを見てナイトメアを睨みつける。
「ま、待ってくれフルーツ!!コイツはそのナイトメアを倒してD級ヒーローになりたいんだよっ!」
俺が咄嗟に叫ぶとネッケツはゴホッと血を吐いてすかさず答えた。
「あぁ……コイツは俺の獲物だ!手を出すな!」
フルーツはそれを聞くと切なそうな顔をしたあと、覚悟の決まったような少し凛々しいオーラを放ち言った。
「限界を……超えるんだね。分かった。私見てるよ」
ネッケツは立ち上がり叫ぶ。
「へっ……ナイトメア・超を一撃で倒した"天才"には俺の境遇なんて知りもしないかもしれない。ダサいって笑えよ!」
そうネッケツは悔しそうに叫びウサギ型のナイトメアにタックルをかまし叫んだ。
「ファイアータックル!!」
ネッケツから微妙の炎が現れ、ウサギ型のナイトメアの毛を少し燃やしたようだ。
だが、ナイトメア・弱は平然としている。
全然ダメじゃねぇか。ナイトメア・弱を軽く倒さなきゃDにはならねぇってのに。
いっそフルーツに瞬殺してもらいたくなってきた気持ちを俺は必死に抑える。
(そうだ……!)
俺は閃いてしまった。
この状況を打破する方法!
次話に続きます。
そしてお久しぶりです。




