ある吟遊詩人の独白〜かくして物語の幕が上がる〜
その気配を感じた時に僕は確信し、歓喜したとも。
停滞していた運命の歯車が、終局を目前にしてようやく動き出したのだと。
過酷な宿命を背負った彼の足跡を見守るべく、僕も久方振りにヒトの世に降り立とうじゃないか。
おそらく、彼の道行は想像しようもない程の苦難が待ち受けているだろう。
宿業、そして世界の命運を背負うにはあまりにも脆弱である。
だが、その旅路の果てに幸福に満ちた結末があると願うばかりだ。
勿論、現実は物語のようにヒトに優しくない。
しかし、数奇な運命が絡み合い、きっと彼をそこへと導いてくれると信じている。
いや、正確には信じたい、が正しいかな?
彼は清廉な騎士の挺身により、一つ目の苦難を潜り抜けた。
そのことで彼の心は悲しみに染まるだろうが、不器用な戦士が、そして新たに出会う縁が彼を癒し、手を引いてくれるだろう。
さぁ、彼の旅路はまだ始まったばかりだ。
これから長い付き合いになるだろうが、どうかその道行をご照覧あれ――
お読みくださりありがとうございます!
ひとまずプロローグはこれにて終了でございます。
まだまだ先は長いですが、これからもお付き合いいただけましたら幸いでございます。
少しでも気に入っていただけたり、続きが気になるなぁと感じていただけましたら、ブックマークやリアクション、下のポイント★1からでも良いので、反応をいただけると作者のやる気に繋がりますので、どうぞよろしくお願いいたします!