#02. 接触
ちょっとだけ流血と暴力あり。
「今夜も空振りか」夜明けも差し迫った路地裏で独りごちる。
意味のない伊達メガネを外し、明け始めた紫色の空を眺めていると、こんな時間には珍しくヒトの声がした。
「やめてくださ、い」「そうは言ってもなあ、こっちも手ぶらで帰るわけにはイカンのよ」女性一人に男が2人。どう見ても親密には見えない。仕方ない。
「おい、何をしている」ちょっとばかり意識して低い声をかけた。怯えきった様子の若い女性に歩み寄る。
「なんだ邪魔しようってか」にじり寄る男どもの手をまとめて掴み
「そうなるかな」そのまま加減してビル壁に叩きつける。暗がりだ、顔を見る前に昏倒しただろう。
「あ、ありがとうございました」その声に振り向いた瞬間、登り始めた朝日が互いを認識させた。
「探偵事務所の方ですよね、」しまった、知っていたか。
「あの、手、大丈夫ですか?」言われて見れば、先ほど使った右手から血が滴っている。
「これ、使ってください」ハンカチを差し出して血を拭い去っていく。
ファーストコンタクト。
「あら?」その下に傷はない。不思議そうに首をかしげる女性。
「も、もう大丈夫ですから!」と慌ててハンカチをその手から掠め取り、
「洗ってお返ししますよ。」と返す。普通の身体でないことが知られてはマズい。
「でしたら、今度お礼にうかがいますね」そう言って走り去る女性の後ろ姿に、また会えることへの期待を感じながら「リーダーのことは悪く言えなくなりそうです」と苦笑した。
繊細なレースで飾られたハンカチは、こっそり手洗いした。まだ細かい作業に慣れてないからな、練習と自分を納得させる。
目に見える染みは無くなったので、乾かしてたたんでおく。
翌日、お礼にと訪れたあの人からは、落ち着いた青色の石がはまったループタイ。こんなのではお礼には足りないですがと恐縮するその手に、こちらこそと例のハンカチを押し付けた。互いの手が触れる。
セカンドコンタクト。
「タイ、使っていただけたら嬉しいです」そう言い残して帰っていった。
「すみにおけないねー」金髪が、煽ってくる。「で、あってんのかな」なんだ、分かってなかったのか。
気まずさをごまかすために咳払いを一つ。
「せっかくだから、着けてみるか」タイを手に取り首に通す。
それが私を縛る首輪とも知らずに。
「幕間」
ご報告いたします。
ファーストコンタクトに成功。やはり強力な再生能力を有しています。例のプロジェクトには逸材かと。
ーーーそう。じゃあ釣り上げたやつに首輪を。アイツが一番逃げ足が速そうだ。
承知いたしました。明日、実行いたします。
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ご報告いたします。
セカンドコンタクトに成功。首輪の装着が確認されました。また、肉体情報の残存が期待できる品を回収いたしました。これより遺伝子解析を開始します。
ーーーいいね。あとは捕まえるだけだね。どれからいくかな。首輪を使うか。個にのめり込んでるアイツからにするか。あ、先行情報はシステムに反映させておいてね。
承知いたしました。




