↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
15/17

後日譚: re-lease

後日譚:re-birth 補完SS-2

解放の時

「プロテインパウダー生産の過程で排出される、殻や爪の件ですが」

すっかり秘書業が板に着いた彼女が報告する。

「良質なキチン、キトサンの原料として、医療方面に展開中です。傷の治りが良いと、ガーゼ類が高評価を得ています。」

「それは僥倖。余ってもいいから増産しましょう。医療用品の備蓄を増やさないと」

「承知しました。何かあるんですか?」

「んー。引退前のひと仕事ね。人道支援も大事だけど、この国も災害大国だし。」

「コロナの時、マスクとか足りませんでしたしね」

「そういうことだから、手配、お願いね」

「はい、では失礼します。」 


ドアが閉まるのを待って、独りごちる。

「言えないよなー。大地震なんて。」あと1年くらいか。

「キリもいいし、事業整理するかな」



そして1年。

「そろそろだと思う。」

今日のお供は、先輩秘書。信奉者とも言える、気心しれた本当の内部関係者。

「避難されますか?」

「僕は、やることがあるからココにいる。揺れが収まったら、備蓄のサプリと医療用品を放出しよう。」

「承知いたしました。」

「外からも避難してくると思う。街全体を想定して備蓄したから大丈夫とは思うけど。」

「在庫確認を徹底いたします。」

「頼んだよ。パニックは避けたい。」

「はい。」

「では、引き続き報告を。」

「第2、第3プラントは、雑食種飼育エリアとして順調に稼働中です。先に稼働停止させた旧ユニットはいかがします?」

「中身を出して、第1プラントの予備かなあ。あっちはまだ必要だから。」

そう言いながら、ロックを外す。


デスクに置いていたスマホが、けたたましく鳴り響いた。聞きたくなかった耳障りな不協和音。

来た。

「打ち合わせどおりお願い。」

「はい!」走り去る秘書。


ぞん。大きな縦揺れ。

ご、ごん。横揺れが混ざる。立っているのも大変。

徐々に強くなる揺れに、ロックを外したアメジストが大きく傾いだ。


ぱき、ぱきん。

3つの結晶の真ん中を残して。2つが床に叩きつけられる。


ぱん

倒れてきたキャビネットが2つを叩き割った。


揺れが収まる。 「ふぅ。」


(わざと、割っただろ)

「よくわかったね?」

(私たちのコピー体も、もうないでしょう?)

「そうだよ、お役御免。」

((なぜ))

「キミたち2人には、強い楔を用意してあげられなかった。心のケアもなしに、20年だ。申し訳ない。」

(こんなに削られたら、この星から出られない。)

「うん、だから、アフターケア。悪いようにはしない。決して。」


外を見る。

「キミたちが使ってた廃ビル、土地ごと買い取ったよ。」

(今さら使えって?)

「いや。この地震でもうだめだろう。だから、思い出せるものを作っておくよ。」

猫がやってくる。額が割れる。

金色の瞳がせり出して、宙に浮いた。

パタリ。

「そっちが本体だからね」

(目玉じゃないのか?)

「僕の一部。今回はそれが水先案内になるよ」

(おい!何すんだよ!)

「ちょっと遠回りなんだけどね、」

(うわ、引っ張られる)

「まずは2人で、寄る辺を見つけてきて」


3つの光が、ガラス窓をすり抜けて、空へ消える。


「巡り巡ったその先で、どうか心安く過ごせますように。」



旧第2、第3プラント機能停止しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。