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魔力0の伯爵令嬢、すいへーりーべーで領地開拓!〜研究費を稼いでいたら領地が発展しました〜  作者: 大福


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第20話 作ったあと


 伯爵邸の厨房。



「料理長。」


「はい。」


「マヨネーズって。」


「何日持つ?」


「……。」



 料理長の手が止まった。



「ココア様。」


「なに?」


「それを私にお尋ねになりますか?」


「……分からないよね。」


「数日前に初めて作ったものでございますので。」


「そうだよね。」



 ココアは、


 作業台の上を見る。



 淡い黄色のマヨネーズ。



 作ることはできた。



 味も。


 料理長と何度も試して、


 十分に美味しいものになった。



 材料についても、


 少しずつ分かってきた。



 卵は、


 現状の需要なら足りている。



 マヨネーズが本当に売れ。


 必要量が増えた時には、


 ハンスへ相談することもできる。



 そこまでは。


 見えた。



 けれど。



 商品として売るなら。



 作った瞬間で、


 終わりではない。



「料理長。」


「はい。」


「この屋敷では。」


「傷みやすい食べ物って。」


「どうしてるの?」


「物によりますな。」


「見せてもらってもいい?」


「もちろんでございます。」


「こちらへ。」



     ◇



 厨房の奥。



 階段を下りるにつれて、


 空気が変わった。



「……涼しい。」


「食料庫でございます。」



 料理長が、


 扉を開ける。



 肉。



 乳製品。



 野菜。



 瓶。



 壺。



 様々な食材が、


 種類ごとに置かれていた。



「肉は全部ここ?」


「いいえ。」


「長く保存するものは。」


「塩漬けや燻製にいたします。」


「魚も?」


「塩漬け。」


「干物。」


「燻製などでございますな。」


「野菜は?」


「乾燥させるものもございますし。」


「酢や塩を使うこともございます。」


「果物は?」


「干したり。」


「砂糖が使えるものなら、煮ることもございます。」


「……なるほど。」



 ココアは、


 持ってきた紙へ書いていく。



『低温』


『乾燥』


『塩』


『酢』


『燻製』



 どれも。


 知らない原理ではない。



 前世にも。


 同じ考え方の保存方法はあった。



 水分を減らす。



 温度を下げる。



 塩分を高くする。



 酸性に傾ける。



 微生物が増えにくい環境を作る。



 違うのは。



 それを実現するための設備と。


 この世界で使える手段だ。



「先生。」


「はい。」


「氷は?」


「冬に切り出したものを。」


「氷室で保存することはございます。」


「夏まで残る?」


「設備が整っていれば。」


「普通のお店でも使える?」


「難しいでしょうな。」


「値段も高い?」


「安くはございません。」


「……だよね。」



 ココアは、


 紙へ書き加える。



『氷――日常的な使用は難しい』



 冷蔵庫がないことくらい。



 とっくに知っている。



 この世界で、


 もう五年も暮らしているのだ。



 けれど。



 自分で食品を作り。



 それを商品として、


 誰かへ渡そうとすると。



 その意味は。


 まるで違って見えた。



 作った場所で、


 すぐ食べるだけならいい。



 だが。



 店へ運ぶ。



 並べる。



 誰かが買う。



 家へ持ち帰る。



 食べる。



 その間。



 時間が流れる。



「……。」


「ココア様?」


「考えてる。」


「左様でございますか。」


「うん。」


「何をでございますか?」


「どうやったら。」


「安全に売れるか。」


「なるほど。」



 セバスが、


 僅かに口元を緩める。



「でしたら。」


「まず。」


「作ったあとに。」


「どのように変化するのか。」


「確かめる必要がございますな。」


「うん。」



     ◇



 厨房へ戻る。



 ココアは、


 新しく作ったマヨネーズを見つめた。



「料理長。」


「はい。」


「同じものを。」


「二つ作りたい。」


「二つ?」


「同じ卵。」


「同じ油。」


「同じ酢。」


「同じ塩。」


「分量も。」


「作り方も同じ。」


「できますか?」


「もちろんでございます。」


「お願い。」



 料理長が準備を始める。



 その横で。



「ヒルダ。」


「はい。」


「油お願い。」


「承知いたしました。」



 ヒルダが、


 油の器を手に取る。



 料理長の手が、


 一瞬止まった。



「……。」



 ヒルダが、


 静かに料理長を見る。



「何でしょう。」


「何も。」


「今。」


「何か言いたそうでしたが。」


「気のせいでございます。」


「ヒルダ。」


「はい。」


「昨日みたいに。」


「少しずつね。」


「……ココア様。」


「なに?」


「昨日も。」


「私は問題なく油を注いだと記憶しております。」


「うん。」


「では。」


「なぜその確認を?」


「念のため。」


「……。」


「ヒルダ?」


「承知いたしました。」



 料理長が、


 顔を伏せる。



「料理長。」


「はい。」


「笑った?」


「混ぜる準備をしております。」


「また答えてない。」


「気のせいでございます。」



 セバスが、


 眼鏡を押し上げた。



「皆様。」


「実験――」


「試作。」


「……失礼。」


「試作に集中いたしましょう。」


「先生。」


「はい。」


「今、実験って言った。」


「聞き間違いでございます。」


「絶対言った。」



     ◇



 二つのマヨネーズが完成した。



 同じ材料。



 同じ分量。



 同じ作り方。



 同じ大きさの器。



「一つは厨房。」


「はい。」


「もう一つは。」


「地下の食料庫。」


「温度だけを変えるのでございますか?」


「うん。」



 ココアは、


 紙へ一本線を引く。



『違う条件――保存場所』



「一度にいっぱい変えたら。」


「何で違いが出たのか。」


「分からなくなる。」


「眼鏡の時と同じですな。」


「うん。」



 セバスの言葉に、


 ココアが頷く。



「比べたいもの以外は。」


「できるだけ同じ。」


「それが。」


「基本だから。」



 そして。



 作りたてのマヨネーズへ、


 顔を近付ける。



 意識を集中する。



 視界が変わった。



 色ではない。



 形でもない。



 そこにある元素。



 物質を形作る、


 無数の結合。



「……。」



 複雑だ。



 食品なのだから、


 当然だった。



 卵黄。



 油。



 酢。



 塩。



 いくつもの物質が、


 入り混じっている。



「ココア様?」


「今のを。」


「覚えてる。」


「見えるのでございますか?」


「変わったら。」


「たぶん分かる。」



 ヒルダの表情が、


 僅かに強張る。



 けれど。



 以前とは違う。



「ココア様。」


「なに?」


「無理はなさらないでください。」


「うん。」


「見るだけ?」


「見るだけ。」


「触れない?」


「触れない。」


「よろしい。」



 ヒルダが頷く。



 その言葉には。



 もう。



 以前のような恐れだけではなく。



 心配があった。



     ◇



 翌日。



「……。」



 厨房に置いたもの。



 地下食料庫に置いたもの。



 ココアは、


 二つを交互に見ていた。



「違う。」


「もうでございますか?」



 料理長が尋ねる。



「うん。」



 昨日。



 作った直後には、


 ほとんど見られなかった変化。



 ほんの僅か。



 けれど。



 確かに。



 元の状態とは違っている。



「厨房の方が。」


「変化が大きい。」


「地下は?」


「こっちより少ない。」



 紙へ書く。



『一日目』


『厨房――変化あり』


『地下――変化小』



 料理長も、


 器を確認する。



「見た目では。」


「ほとんど分かりませんな。」


「匂いは?」


「こちらも。」


「それも書いて。」


「承知いたしました。」



 見た目では、


 ほとんど分からない。



 匂いでも。



 大きな違いはない。



 それでも。



 中では。



 何かが、


 変わり始めている。



「……。」



「ココア様。」


「なに?」



 ヒルダが、


 器を見る。



「味は。」


「確認なさらないのでございますか?」


「食べない。」


「どちらも?」


「うん。」



 即答だった。



「どうしてでございますか?」


「変わってるから。」


「腐っているということですか?」


「分からない。」



 ココアは、


 二つの器を見る。



「微生物かもしれない。」


「酸化かもしれない。」


「他の反応かもしれない。」



「私に見えてるのは。」


「変化した結果だけ。」



「何が原因なのか。」


「それが人に危ないのか。」


「そこまでは分からない。」



「……。」



 料理長も。


 セバスも。



 黙って聞いている。



「だから。」


「食べない。」


「人にも食べさせない。」



「それと。」



 ココアは、


 さらに続けた。



「私に変化が見えなかったからって。」


「安全だとも決めない。」


「なぜでございますか?」



「私が。」


「見つけられてないだけかもしれないから。」



「……。」



 セバスが、


 僅かに目を細めた。



「ココア様。」


「なに?」


「それを。」


「忘れないでくださいませ。」


「うん。」



     ◇



 二日目。



 違いは、


 さらに大きくなった。



 三日目。



 傾向は変わらない。



 低い温度で保存した方が。



 変化は遅い。



「予想通り。」


「ご存じだったのでございますか?」



 料理長が尋ねる。



「うん。」


「温度が低ければ。」


「食品の中で起きる変化は。」


「遅くなるものが多いから。」


「では。」


「なぜ調べたのでございますか?」



「ここでも。」


「同じとは限らないから。」



 ココアは、


 地下保存の器を見る。



「この卵。」


「この油。」


「このお酢。」


「この作り方。」


「この食料庫。」



「前に知ってたものと。」


「全部同じじゃない。」



「知ってることは。」


「使える。」



「でも。」


「知ってるからって。」


「確かめなくていい理由にはならない。」



「……なるほど。」



 料理長が、


 静かに頷く。



「では。」


「次は何を?」


「酢の量。」


「その次は塩。」


「容器も変えたい。」


「それから――」



 ココアの手が、


 止まった。



「……。」


「ココア様?」


「これ。」


「全部終わるまで。」


「売れないね。」



「左様でございますな。」



 セバスが、


 あっさり答えた。



「……先生。」


「はい。」


「そこ。」


「もう少し。」


「残念そうに言って。」


「事実でございますので。」


「むぅ。」



 ココアは、


 紙を見る。



 調べたい条件は、


 いくらでもある。



 温度。



 塩。



 酢。



 容器。



 光。



 作り方。



 衛生状態。



 だが。



 問題は。



 どこまで調べれば、


 人へ売っていいのか。



「……。」



 ココアは、


 器を見る。



 昨日作った。



 すぐ食べた。



 美味しかった。



 だから。



 作った日に売ればいい。



 一瞬。



 そんな考えが浮かぶ。



 そして。



 すぐに消した。



「……駄目。」



「何がでございますか?」



「作った直後なら。」


「安全って。」


「まだ確認してない。」



「……。」



 セバスが、


 ココアを見る。



「昨日。」


「私たちが食べた。」


「でも。」


「何人かが大丈夫だったから。」


「誰にでも大丈夫だとは言えない。」



「材料が変わったら?」


「作る場所が変わったら?」


「手が汚れてたら?」


「器が汚れてたら?」



「……増えましたな。」


「増えた。」


「調べることが。」


「いっぱい。」



 ココアは、


 少しだけ困った顔をする。



 けれど。



 その目は。



 楽しそうだった。



「料理長。」


「はい。」


「この屋敷で。」


「食べ物を作る時の。」


「清潔にする決まりってある?」


「もちろんございます。」


「全部教えて。」


「全部、でございますか?」


「うん。」


「それと。」


「お医者様にも聞きたい。」


「医師に?」


「食べ物で。」


「お腹を壊した人とか。」


「どういう時に多いのか。」


「何を食べたのか。」


「記録があるなら見たい。」



「なるほど。」



 セバスが、


 眼鏡を押し上げる。



「では。」


「そちらについては。」


「私から医師へ確認いたしましょう。」


「お願い。」



「売るのは。」


「それから?」


「うん。」



 ココアは、


 はっきり頷いた。



「分からないまま。」


「人に食べさせる方が嫌。」



     ◇



「ところで。」


 セバスが、


 机の上の器を見る。



「はい。」


「仮に。」


「安全に販売できる条件が決まったとして。」


「はい。」


「これを。」


「何に入れて売るのでございますか?」



「……。」



 ココアが止まった。



 今。



 マヨネーズが入っているものを見る。



「……これ。」


「伯爵家の食器でございます。」


「……。」


「購入者一人につき。」


「一つずつ差し上げますか?」


「駄目。」


「賢明でございます。」


「先生。」


「はい。」


「絶対楽しんでるでしょ。」


「何のことでございましょう。」



     ◇



 厨房に。



 いくつもの容器が集められた。



 木。



 金属。



 ガラス。



 陶器。



「油やお酢は?」


「客が持参した器へ。」


「量り売りする店もございます。」



 料理長が答える。



「持ってくるんだ。」


「ええ。」


「酒なども同様でございます。」


「……。」



 それなら。



 客に容器を持ってきてもらう。



 前世にも。



 似た売り方はあった。



 無駄も少ない。



 だが。



「……今回は駄目。」


「なぜでございますか?」



 ヒルダが尋ねる。



「何を入れてた器か分からない。」


「ちゃんと洗ってあるかも分からない。」



「今。」


「保存と安全を調べてるのに。」



「お客さんごとに。」


「違う器を持ってこられたら。」


「条件が増えすぎる。」



「なるほど。」



 セバスが頷く。



「でしたら。」


「専用の容器が必要になりますな。」


「うん。」



 ココアは、


 一つずつ確認していく。



「安くて。」


「洗えて。」


「油が染みにくくて。」


「何回か使えて。」


「蓋ができて。」


「匙が入る。」



「……。」



 木。



「油が染みそう。」


「加工次第でしょうが。」


「今回は候補から外す。」



 金属。



「高い?」


「陶器よりは。」


「毎回使うものには向かない。」



 ガラス。



「……高い。」


「ご存じでしょう。」


「知ってる。」



 眼鏡で。


 散々試した。



 加工には。


 技術も手間も掛かる。



 そして。



「……これ。」



 ココアが、


 小さな陶器の壺を持ち上げる。



 内側へ、


 指を入れる。



「つるつる。」


「釉薬が掛かっております。」


「油は染みる?」


「通常の使用であれば。」


「問題ないかと。」


「洗える?」


「もちろんでございます。」


「値段は?」


「ガラスより。」


「かなり安うございます。」


「口も広い。」


「匙も入りそうですな。」



「蓋は?」


「ございます。」



 料理長が、


 同じ陶器の蓋を持ってくる。



 ココアが、


 壺へ載せる。



「……。」



 少し動かす。



 カタ。



「隙間ある。」


「完全に閉じるよう作られたものではございませんので。」


「そっか。」



 ココアは、


 壺を回した。



 口。



 厚さ。



 蓋。



 もう少し。



 マヨネーズに合う形へ。



 変えられるかもしれない。



「先生。」


「はい。」


「陶器を作ってるところ。」


「領都にある?」


「ございます。」


「行きたい。」


「やはり。」



「なに?」


「いえ。」



 セバスが、


 眼鏡を押し上げる。



「どのような壺にしたいのでございますか?」


「それを。」


「職人さんと考える。」



「私が欲しい形は言える。」


「でも。」


「どう作ったらいいのか。」


「どこまでなら作れるのか。」



「それは。」


「作ってる人の方が知ってるから。」



「その通りでございます。」



 ココアは、


 もう一度壺を見る。



「それと。」


「これ。」


「一回使ったらどうするの?」


「洗って。」


「別の用途へ使うこともできるでしょう。」


「じゃあ。」


「返してもらうのは?」


「返す?」


「うん。」



 ココアは、


 壺を机へ置いた。



「最初に買う時は。」


「マヨネーズと。」


「壺の分も払ってもらう。」



「それで。」


「食べ終わった壺を。」


「お店に返してくれたら。」



「次は。」


「その分安くする。」



「……。」



 セバスの表情が、


 僅かに変わった。



「買う者は。」


「二度目から安くなる。」


「うん。」


「こちらは。」


「容器を再利用できる。」


「うん。」



 そして。



 ココアは、


 すぐに続ける。



「でも。」


「返ってきたのを。」


「そのまま使うのは駄目。」


「洗浄でございますか?」


「うん。」


「ちゃんと洗う。」


「それから。」


「熱も使いたい。」



 ココアは、


 陶器を指先で軽く叩いた。



「煮ても大丈夫かな?」


「私には分かりかねます。」


「だよね。」


「はい。」


「じゃあ。」


「それも職人さんに聞く。」



 新しい紙を引き寄せる。



『容器』


『陶器』


『蓋』


『洗浄』


『加熱』


『返却』



「……。」



 ココアは、


 並んだ文字を見る。



「増えた。」


「何がでございますか?」


「調べること。」


「研究費も。」


「増えそうですな。」



「……。」



 ココアの手が止まる。



「先生。」


「はい。」


「それは困る。」


「でしたら。」


「売れる商品にしなければなりませんな。」


「……うん。」



 マヨネーズを売りたい。



 ただ。



 それだけだった。



 なのに。



 一つ進むたび。



 次に必要なものが見えてくる。



 材料。



 生産。



 保存。



 安全。



 容器。



 洗浄。



 販売。



 そして。



 その先には。



 まだ。



 分からないことがある。



「……面白い。」



「ココア様。」


「なに?」


「また。」


「笑っておられます。」


「うん。」



 分からないなら。



 調べる。



 できないなら。



 できる人を探す。



 一つ分かれば。



 また。



 次の問いが生まれる。



「研究と同じだから。」



 セバスが、


 小さく息を吐いた。



「それは気の毒な……。」


「先生!」



 厨房に。



 ココアの声が響いた。



     ◇



 翌日。



 領都の陶器工房。



「これは。」


「ココア様。」



 工房主が、


 慌てて手を拭いながら頭を下げる。



「突然ごめんなさい。」


「いえ。」


「本日は。」


「どのようなご用件でございますか?」



 ココアは、


 持ってきた小さな壺を。



 作業台へ置いた。



「これ。」


「はい。」


「もっと。」


「ぴったり蓋できない?」



「……蓋を?」



 職人が、


 壺を手に取る。



 蓋を載せる。



 カタ。



「今より。」


「隙間を少なくしたいのですか?」


「うん。」


「全部。」


「同じくらいに。」



「……全部?」



 職人の手が止まった。



「うん。」



「同じ壺なら。」


「どの蓋を持ってきても。」


「ちゃんと合うようにしたい。」



「……。」



 職人は。



 壺を見る。



 蓋を見る。



 そして。



 五歳の伯爵令嬢を見る。



「ココア様。」


「なに?」



「それは。」



 職人が、


 少し困ったように笑った。



「壺を一つ作るより。」


「ずっと難しい注文でございますな。」



「……。」



 ココアの目が。



 ゆっくりと輝いた。

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