地の底のランカー
──廃区画の一角。
「“裏ランカー”って知ってるか?」
フードの男がそう言ったとき、
俺の中で何かが引っかかった。
都市の公式ランクとは別に、
地下で暗躍する非公認ランキング──
それが、“裏ランカー”。
「こっちじゃな、ルールなんて関係ねえ。
力だけが評価基準だ」
男はフードを脱いだ。
ボサボサの銀髪。
痩せた体つきだが、雰囲気が異様に重い。
名前は──リード。
裏ランク“21位”だという。
「お前みたいな“表のS”が来ると、上がざわつく」
「上?」
「“裏の十傑”。裏ランカーの頂点どもだ」
なるほど。
都市の秩序を牛耳る“五王”とは別に、
裏ではこっちの奴らが回してるってわけか。
「で? 何の用だ」
「テストだ」
リードが、無造作に手を上げた。
次の瞬間──
ズズズズズッ!!
地面が割れた。
そこから現れたのは、
触手のような腕を持った“融合魔獣”。
人工合成された、管理外の実験体。
「この子、俺の"飼い魔"でな」
「強いのか?」
「そこそこ。
……でも、こいつを潰せないなら──“裏十傑”に会う資格はねえ」
──やれってことだな。
「喰らうだけだろ、いつも通り」
俺は歩み出た。
◇
融合魔獣は、
複数の魔物の特徴を持つ。
スピード、硬度、自己再生。
そのどれもがA級魔獣クラス。
だが。
「全部──いただきだ」
【神気鎧装】【強化骨格】【断裂跳躍】
三連同時展開。
ズガァァン!!
跳躍と同時に、
触手をまとめて吹き飛ばす。
次の瞬間、
腹部を貫通させ──
全魔素吸収を発動。
──ズズズズズッ!!
抵抗できるはずもなく、
融合魔獣は黒い塵へと還った。
【スキル:再生因子(微)】【スキル:触手展開(封印状態)】
取得完了。
「……チートだな、お前」
リードが笑った。
「面白れぇ。
紹介してやるよ、十傑の一人をな」
そのときだった。
背後から、ひときわ異質な“視線”を感じた。
空間がひび割れたような──
ぞくりとする、違和感。
(……なんだ、今の)
「こっちの“世界”に慣れてねえと、
ああいう視線にやられるぞ」
リードが肩をすくめた。
「たまに変なのが混ざるからな、外から」
──外から?
リードの言葉は、
どこか妙な引っかかりを残したまま、
空気に消えた。
(……気になるな)
だが今は、
“喰うべき相手”がいる。
この都市の裏側で──
俺はさらなる頂を目指す。




