神の領域(テリトリー)に踏み込む
──神殿街。
神の祝福を受けし都、
と謳われる聖域。
白い石畳。
豪奢な大聖堂。
澄んだ空気に満ちるのは、
清廉と──傲慢。
(……気に食わねぇ)
その空気に足を踏み入れた瞬間、
肌がざらついた。
いわば“拒絶反応”。
この街の“結界”は、
明確に俺を“異物”として識別している。
──だが、それでいい。
破壊する対象が明確な方が、やりやすい。
◇
「よそ者、立ち止まれ──!」
白装束の騎士たちが、
路地裏で俺を囲んだ。
神殿街を巡回する“神の衛兵”らしい。
「身分証を示せ」
「この街で認可を受けていない者の滞在は──」
「──うるせえ」
俺は静かに、
一歩踏み出した。
その瞬間、
衛兵たちが一斉に構える。
だが。
「遅いんだよ、全員」
【跳躍強化】
【神気鎧装】
【魔素収束】
──複合ブースト、発動。
一閃。
一撃。
ただ拳を振っただけで、
白装束たちは、全員沈んでいた。
「な、なに者だお前は──ッ!!」
最後に残った一人が叫ぶ。
俺は、そいつに向かって──
ゆっくりと名乗った。
「……“神喰”だ」
◇
その後すぐ、
神殿街全域に“警戒令”が敷かれた。
巡回兵の全滅。
市街地での高位スキル反応。
犯人は黒髪の少年──
その噂は一晩で全域を駆け巡った。
だが──
それも俺の狙い通りだった。
(引きずり出してやる)
この街の頂点。
“神官長アグラ”。
神の声を聞く者とまで呼ばれた男。
そいつが出てくるまで、
この街を叩き続ける。
──
もう誰にも、止められねぇよ。
“神の聖域”だろうが、
神の使いだろうが、
喰って──
地に堕としてやる。




