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この力は、まだ始まりにすぎない

──あの日。


神に見捨てられた世界で、

俺はすべてを失った。


家族も、居場所も、

生きる意味さえも──


けれど今、

この手には“すべてを奪い返す力”がある。


──【奪取】(だっしゅ)──


スキルも、ステータスも、魔法も、存在すらも。

喰らい、奪い、俺のモノにする。


だからもう──

止まらない。


止まる理由がない。


 



 


奪ったのは、神の加護を受けた聖騎士のスキル。

“神気鎧装”──

神の力を身に宿し、己の肉体ごと聖なる武装へと昇華する超位スキル。


それを、俺が喰らった。


神から見捨てられたはずの俺が。

神の寵愛を、力ごと奪い取った。


 


「……なるほど。こいつが“神の力”か」


全身に満ちる、

澄みきったようで、どこか異物めいた魔力。


浄化属性──それは、本来“俺のような存在”を焼き尽くすはずの力。


けれど俺は逆だ。

飲み込んで、染めて、我が物とした。


「お前らの神の加護、全部こうして喰らってやるよ」


 


そう呟いた瞬間、

周囲にいた聖騎士団の残党たちは戦意を喪失していた。


神気鎧装を纏って暴れていた“あるじ”を、

目の前で喰われたんだ。無理もない。


だが──


「震えてるだけじゃ許さねえぞ」


俺の眼前で震える者たちに、

一歩ずつ近づく。


「お前ら全員──あの時、見てたよな?」


 


あの瞬間。


俺が“生贄”にされていた時、

誰も止めようとしなかった。

誰も見ようとしなかった。


傍観した者も、笑っていた者も、

全員、同罪だ。


 


──だから喰らう。


一人残らず。


 



 


数分後。

あたりは静寂に包まれていた。


誰一人として立っていない。


そこにいた全員、

俺の“糧”になった。


 


【神気鎧装】──

浄化属性

高位結界耐性

対魔抗性(高)


取得完了。


 


そして。

もう一つ、通知が現れる。


──【神性値:1】を獲得しました。


 


「……なんだこれは」


聞き慣れない文言。


神性値?

これは、まさか……


(“神”に近づくための、指標か?)


 


自分が“神”から切り捨てられた側なら、

いっそ──


“神”を奪ってやる。


 


(その頂に、俺が立つ)


ゆっくりと、

空を見上げた。


 


「次は……神殿街しんでんがいだな」


 


神に選ばれし都市。

神の加護が最も色濃く残る場所。


そこには、

次の“獲物”がいる。


──【神官長しんかんちょうアグラ】

神聖魔法の権化。神の代理人を名乗る存在。


 


そいつを喰らう。

その権威ごと、全部──喰らいつくす。


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