絶望の壁
管理機構からの使者──
そいつは、
ただそこに"立っている"だけで、
空間すら震わせる異質な存在だった。
(だが、怯まねぇ)
俺は雷撃を纏い、
全力で踏み込んだ。
バシュンッ!!
超加速で間合いを詰め、
拳を叩き込む。
──が。
ドゴォンッ!!
透明な壁に、
拳ごと弾き飛ばされた。
「……チィッ!」
地面を転がりながらすぐに体勢を立て直す。
(硬ぇ……!)
これまでの結界とは次元が違う。
単なる防御結界じゃない。
"世界そのもの"に守られているような違和感。
(……それでも)
雷撃を纏った体で、再度突撃する。
攻撃を繰り返す。
左拳、右拳、回し蹴り──
だがすべて。
ゴウン、ゴウン、と
空間そのものに跳ね返される。
(……こいつ)
やっと理解した。
この使者は、
"物理法則"すら捻じ曲げる存在だ。
生半可な力では、届かない。
──
使者は、何も言わない。
ただ静かに手を上げる。
ズズズズズッ……
空間が歪み、
無数の黒い槍が生み出される。
そして。
「──死ね」
無機質な声と共に、
槍が一斉に俺へと放たれた。
──
(クソッ……!)
回避行動。
だが、速い。
そして数が多い。
肩を掠めた槍が、
肉を抉る。
(ッ……クソが……!)
それでも、立ち止まらない。
流れる血を無視して、
俺は前へ、前へと進む。
──
だが。
今の俺では、
決定打がない。
(……まだ、足りねぇ)
拳を握る。
悔しさが胸を焼く。
(まだ、俺は──この世界を壊すには、力が足りねぇ!)
──
ズシャッ!!
無数の槍が叩きつけられ、
俺は地面に膝をついた。
血に濡れる視界の中で、
使者は無言でこちらを見下ろしていた。
(……クソッタレ)
まだだ。
まだ、終わっちゃいねぇ。
世界を壊すために。
復讐を果たすために。
絶対に、這い上がってやる──!




