裏社会の情報屋
裏市場の奥、
薄汚れた路地裏に、目的の建物はあった。
──《黒梟》。
聖都ヴァルディアの裏社会を牛耳る情報屋だ。
「……ずいぶんとボロいな」
見た目は、ただの潰れかけた酒場。
だが、中に入った瞬間、
濃密な殺気と緊張感が肌を刺した。
数十人の男たちがこちらを警戒し、
隠し持った武器に手をかけている。
(……上等だ)
俺は一歩も引かず、カウンターへ進んだ。
そこには、小柄な老人が座っていた。
白髪に濁った瞳。
だが、その存在感は並ではない。
「何の用だ?」
かすれた声で老人は問う。
「教皇庁内部の情報が欲しい」
俺は率直に答えた。
男たちの緊張が一気に高まる。
「タダじゃないぞ」
「支払いならする」
──支払い。
金ではない。
俺は、強奪したギルドマスターの証文を取り出した。
教皇庁とギルドが裏で繋がっていた証拠だ。
「これを渡す」
老人の目が細められる。
「……なるほどな。貴様、只者じゃないな」
「それで?」
「いいだろう。教えてやる」
老人は静かに告げた。
「教皇庁は三層構造だ。
下層は一般聖職者。
中層は幹部神官。
そして、最上層に──教皇猊下がいる」
──やはり、三段階構えか。
「下層を潰しても意味はない。
本命は幹部以上だ。特に──"聖盾の守護者"と呼ばれる騎士団」
老人は言った。
「奴らは、教皇を守るために作られた絶対防衛機関だ」
(……なるほどな)
つまり、教皇にたどり着くには、
まずこの"聖盾の守護者"を突破しなければならない。
「もう一つ教えてやる」
老人が続けた。
「最近、聖盾の幹部たちが集結しているらしい。
場所は、ヴァルディア大聖堂の地下《聖域》だ」
──
(よし、決まった)
目指すは、ヴァルディア大聖堂の地下。
聖盾の守護者を叩き潰し、
そのまま教皇へ直行する。
「情報感謝する」
俺はそう告げ、酒場を後にした。
後ろから無数の視線を感じながら──




