祓い
舞台は、パルバク王国の戦場跡に戻ります・・・。
私は、座主様に促されて、井戸の前に出ます・・・。
奉納舞を、と思ったのですが何故か違う気がします。魔方陣かしら?
でも、何も浮かんできません。こんなこと初めてです・・・。
「どうしたね?」
「何かが足りない、そんな気がするのです・・・」
私は、座主様に問われ、そう答えざるを得ません。
「儂等にはわからぬ。龍巫女さんに任せるしかない・・・」
「・・・」
辺りはもうすっかり暗くなっています。癒しが使える機会は、今日迄なので少し焦ります・・・。
「・・・姐さん」
「赤龍?」
「実は、昔も同じ事やらかしてさ。結局、その時はダメだったけど、地主神の時の流れに合わせることが出来れば、って姐さんは言っていた気がする・・・」
地主神の時の流れに合わせる・・・?
赤龍の言葉に、ふと閃きました。そうよ、赤龍、分かったわ!
「じゃ、じゃあ、今回の事は許して・・・」
「それとこれとは別よ!」
「・・・」
私の言葉に、しゅん、とする赤龍。ともかく、今は大地の祓いが先です!
いつもは、その地に流れている地主神や豊穣の神の祈りに、舞ながら願いを伝えます。でも今回、龍の炎で焼かれたこの戦場跡には、その祈りが届いていないのです。最初に、地主神や豊穣の神への、祈りの呼び水となるものが必要です。
私は、地主神からの御下がりであろう水晶玉を取り出し、祭壇に捧げます。
そして、アルマー村で女の子からもらった緑の石の首飾りを取り出し、自分の首に掛けます・・・。
「神々の手配には、抜かりがない・・・」
座主様は、それを見てそっと呟きます・・・。
「地主神よ、龍の炎に焼かれた地に鳳凰の癒しが舞っています。龍の炎で黒く染まった大地が祓い清められ、再び豊穣の神の祈りが地に届くことが我が願い。ラシルの名において、どうか願いを聞し召し給へ。併せて、これから舞を奉納させていただきます」
私は、水晶玉に白い影を伸ばし、その流れを感じながら丁寧に魔方陣を描きます。そしてゆっくりと舞い始めました・・・。
・・・・・・・・・・
戦場跡に、篝火が焚かれています。私はひたすら舞を続けます。すると、井戸から何かが薄っすらと立ち上り始めました。私は、考える間もなく、祭壇に供えた水晶玉を井戸に投げ込みます・・・。
どぷん・・・。
水晶玉が井戸の底に沈みます。すると、井戸から存在感のある光が真っすぐ天空に向かって立ち上りました。皆、固唾をのんで成り行きを見守ります。
次回、女神様の頼み、です。




