鳳凰
私が、何も知らず、疲れて眠り込んでいる頃、各地で大変な騒ぎになっていました・・・。
新年早々、鳳凰が舞った! 深夜新年を祝う人々が、金色に輝く鳥が夜空に羽ばたくのを見た、或いは、癒しの力、喜びの力、が空から降り注ぐのを感じたとか。
ユミル、アルシュ、パルバク、それぞれの宮殿王宮で、報告が駆け巡ります。
傷が癒えた、病が回復した等、特に、ザム侵攻の戦による負傷者、具合が悪かった者に、その効果が大きかったとか・・・。
私は、その日の午後、ようやく目覚めます。癒しの水場で新たに水をいただくと、山道を戻り分かれ道で、正しい方向に歩みを進めます。
やがて、南北街道に通じる道に出ました。さすが新年、皆、外に出て、興奮した面持ちで口々に喜びを語り合っています。私は、騒ぎをよそに歩を進め、翌々日、南北街道に着きました・・・。
・・・・・・・
「龍巫女殿!」
人ごみの中、声を掛けられ振り向くとリムさんです。え? どうして・・・?
「訳は後で、急いで乗ってください!」
持ってこられたのは、貴族が乗るような天蓋付きの輿。
いや、さすがにそれは・・・。
「これだと、道を譲ってくれるのです。ともかく急いで!」
押し込められ、街道を駆け抜けます。
・・・・・・・・
連れてこられたのは、ルドラさんの屋敷。門の中で、皆さんお待ちかねです。
「皆さま、新年おめでとうございます・・・」
「おめでとう。よく来てくれたわね。でも、挨拶は後よ。こちら、紹介は不要かしら?」
ルドラさんに紹介された方は・・・、
「お久しぶり、龍巫女さん!」
「あら・・・?」
確か、座主様・・・。
「早速で悪いが、龍を出してくれんか? 今を逃す手はないのでな!」
え? 何が、どうなっているの・・・?
詳しくは、着いてから話すと言われ、呼び出された赤い龍・・・、
「お、兄貴! その婆、どこかで嗅いだ匂い・・・」
「ああ、俺達を封じた、北の土着神だ!」
「はい・・・?」
「御挨拶だね、でも今は勝負をお預けにしておくれ。これからお前達、龍が焼いた地を癒しに行くのだよ・・・」
赤龍、途端に、しゅん、とします。
「龍巫女さん、パルバクの戦場跡まで儂等を乗せ、龍を飛ばしておくれ。これから龍が焼いた地を祓う!」
良く分かりませんが、とりあえず分かりました。赤龍、私達を運んで頂戴、とお願いして龍に乗ります。その言葉と同時に、龍は空高く舞い上がります。
ひぃ~! も、もう少し低い所をゆっくり飛んで~!
次回、井戸を掘る人、です。




