表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
続・命を継ぐ者(ラシル)の旅  作者: みのりっち
67/71

ルグシャ2

私は、猿王さんの家を午後に辞します。外には、子供を抱えた猿族のお母さん、猿王さんのように、未だ包帯をしている猿族の方も多くいます。私、この方達に出来ることを思いつきました・・・。

急ぎ足で、荒れ地を戻ります。そしてアルシュ南北街道にでる分かれ道を、前回同様 ”間違った方” に進みます。すっかり暗くなった山道を急ぎ進み、なんとか癒しの水場にたどり着きました。


「間に合ったかしら? まだ年は明けてないわよね・・・?」


焚火(たきび)をおこし、水場の前で供物を捧げ魔法陣を描き、四魔慰撫を行います。


「古の盟約に従い地に住まう地主神よ、時を告げる四魔の大いなる働きにより、この1年、日巡りが乱れることなく無事過ごせたこと、感謝を申し上げます。来年もまた、新たなる日巡りのもと、大いなる働きが続きますよう、お願い申し上げます・・・」


そう唱え、私は、えい! と気合を入れ、


ざぱ~ん! ひぃ~!

清めのため、癒しの水を頭から被ります。


「こ、これから、ま、舞、を奉納、させて、いただきます・・・」

さ、寒い・・・。水被ったのは失敗だったかしら~!


・・・・・・・・・


私は、舞を行わず、ずぶ濡れの体でただ立って待ち続けます。まだよ、さ、寒い・・・。まだ、我慢。う~っ、まだ・・・、来た!


それは、ザルード家で寿ぎの舞を行ったときに出会った、小さな喜びの玉、それが僅かですが水場から顔を覗かせます・・・。


「奉納舞、ご照覧あれ!」


気を取り直し、自分の体を繋ぎ変えて、小さな喜びの玉を誘うように舞い始めます。最初はおっかなびっくり顔を出していた者たちも、舞が進むにつれ次々と水場から飛び出してきます。


(今日は、夜通し舞うのよ! 皆、よろしく・・・)


私は、猿王さんをはじめ、先ほどの街でみた多くの猿たち、そして、この水場の先に続く古戦場に思いを馳せ、足の動き、手の動きを丁寧に感じます。


やがて、踵から押し上げる勢いが生まれ、足から腰へ、そして腕から手へ。そして、夜空へと勢いを伝えていきます。


一足ごとに、足は軽くなり、まるで綿毛のよう。もう私の足ではないみたい。

体は、小さな喜びの玉に包まれ、目に見えない流れを捉えると、ただその流れに自分の動きを添わせます。


次第に、肘先や両脇から翼が生えたように感じます。もはや自分の形が、人なのか鳥なのか分かりません。舞を続けながら、ただ思いを馳せます・・・。


喜びの玉よ、癒しの水よ、必要な方の所に届いて欲しい、それが我が願い・・・。地主神、天空の神々、龍神よ、どうか、聞し召し給へ・・・。


気が付くと、空がしらじらとしてきます。一晩舞続けたのね・・・。


へなへなと崩れる私でした・・・。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ