龍爪の旗印
左手方向、地平線に見渡す限りの砂塵、青い騎士、赤い騎士共々その気配を察知します。
「兄貴、もう龍になって地面ごとこいつらを焼き尽くすしかないよ」
青い騎士、流石に止むを得ないかと諦めます。姐さんに怒られるだろうな・・・。前回、地を焼き尽くした罰は、数十年程の封印だったか・・・?
するとそこへ、龍だけが聞き取れる念話が入ります・・・、
「赤龍、青龍、元気か?」
「白龍の爺さんか、何だ? 今忙しい!」
槍を振り回しながら答える青い騎士。
「水龍神として昇天後、天界の湖で女神さんと水遊びの毎日。こんな楽しい事があったなんて、儂知らなかったぞ!」
「爺さん、うらやましいっす!」
赤い騎士は、剣を振り回し舞いながら答えます。
「それでな、地上燃やしちゃだめだからね。儂、女神さんから頼まれちゃった!」
「この色呆け爺! 新手の敵が大量に来ているのに、呑気な事言うな!」
「敵かどうか、良く見てみな。戦が終わったら、お前達も遊びにおいで!」
こちらの苛立ちお構いなし、一方的に念話は切れました・・・。
・・・・・・・・
こちらは元大公殿の一団、後退戦はそれこそ命がけです。このままでは全滅、早く行かんか、と思わず怒鳴りかけた時でした、
「義祖父様、新手の軍の旗印、龍爪です。ザムではありません・・・」
「何?」
「あれ? あの旗印、この指輪と同じ・・・」
後方に下がったシュマさん、指輪の刻印と新手の軍の旗印を見比べて呟きます・・・。
(ザルード家子孫の危機を、この指輪が救ってくれるらしい・・・)
元大公殿、その昔、父祖が教えてくれた指輪の逸話を思い出します。
数百年の時を超え、その約定が今、形を変えて果たされようとしています・・・。
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こちら、先頭を率いるは、龍爪の旗を掲げた猿王、続くは猿族の兵士その数10万。猛スピードで見る間にザム軍の横腹に突き刺さります。
弾き飛ばされる敵兵!奇襲を受け大混乱のザム軍。逃げ出す気配のなかった敵、今度は、雪崩を打ったように退却を始めます。
「殲滅せよ!」
先頭で猿王が旗を振り回し、叫びます!
赤い騎士は、ここぞとばかり赤龍に変身して逃げ惑う敵を焼き尽くしていきます。
「俺、何も見てないから・・・」
青い騎士はそう呟くと、赤い龍に背を向けて、敵を追い詰めていきます。
1時後、辺りはザム軍兵士の死体が地を埋め尽くします。空に向かって炎を吐き、気勢を上げる赤龍。よっぽど、鬱憤が溜まっていたようです。
次回、戦いの後、です。




