新手
「義父様!」 「御祖父様!」
声のする方向を見れば、婿殿と孫息子、なんと孫息子の嫁御まで・・・。
「お前達は、戻って王宮を守れ!」
「赤と青の騎士殿、王宮を包囲した敵を薙ぎ払って、道を切り開いて頂きました」
と婿殿・・・。
やれやれ、また借りを作ったわいと思った瞬間、巨大な獣が一頭、跳躍して婿殿達の前に飛び出します、
「危ない!」
「シュマ!」
すると、孫の嫁御殿、獣の前に一歩進むと鋭く睨み獣を一喝。
「止まれ!」
手を前に出し獣を押しとどめます。その手には、刻印のある銀の指輪・・・。
獣は途端に大人しくなります。
「伏せ!」
今度は、手のひらを下にして押さえつける仕草。目の前の獣だけでなく、元大公殿に向かっていた獣たちも伏せてしまいます。
「・・・」
おろおろする敵兵達・・・。
「義祖父様、義父様、アル様、今ですわ!」
孫の嫁御殿にけしかけられ、我に返る男達、慌てて敵兵を蹴散らしていきます。
(やれやれ、ザルード家に大変な嫁が来たものだ・・・)
・・・・・・・
一方、こちらは王宮を守る赤い騎士と青い騎士。周りは死体の山です。剣や槍を振り回せども、敵兵は一向に怯む気配がありません。避ける間がない攻撃は、鎧を傷つけます。
「兄貴、これだけやられると普通逃げ出すのに、こいつらそんな気配がないね」
「ああ・・・」
恐らく、国境に現れた兵士達と同じだろう。何かに操られていやがる。
そう思いながら槍を操る青い騎士・・・。
パルバク王国軍も奮戦しますが、龍達のようにはいきません。押された所は、赤い騎士と青い騎士がザム軍を押し戻します。
・・・・・・・
再び、元大公殿一行、身内の援軍も駆けつけ、巨大な獣は御しました。しかし、敵兵は後から尽きることなくやってきます。
「剣を合わせるな、いなして急所を突き刺せ!」
大公殿、苦戦するアルージュ卿を見かね声を掛けます。
「アル! 嫁御殿と後方で休め!」
「いえ、義祖父様、私は大丈夫です」
代わりに返事をする嫁御殿、自分の剣が受け止められた瞬間、息を合わせて敵の剣を絡めます。力任せに払われる直前、剣を外して、敵の首を狙います。
大したものよ・・・。
「疲れは急にやってくる、早めに一度休みを入れなさい」
そう言われ、若い二人は下がります。その時、
「左に新手が・・・」
孫のひきつった声。その方向を見ると、地平線に見渡す限りの砂塵・・・。
「お前達、ここはもういい。今すぐ撤退だ。しんがりは儂が務める・・・」
次回、龍爪の旗印、です。




