金龍再び
私は、訓練校の裏庭に行き、井戸を埋めた跡に立ちます。
「ここでいいのね?」
そこは、周囲より少し土が盛られ、辛うじて何か埋めたと思しき場所。私は、青龍に教えられた通り、その真ん中に指輪で触れました・・・。
どのくらい時間がたったのでしょう?
そこはザルード邸から離れた古い小さな井戸の前、いつの間にか私は移動していました。遠くを見ると、敵軍がちょうど到着した様子、周囲を埋め尽くしています。
「え? どうして・・・」
「姐さん、待っていてもらえますか? ちょっと片付けてきます」
そういって、指輪から抜け出した青い騎士と赤い騎士。
「姐さん、少しだけ龍に戻って、あいつら焼き払っていい?」
赤い騎士、そういいながらそわそわしています。
何故か、止めた方がいい! という考えが私の頭をよぎります。
周りは大公殿の所有する土地なのよね。あんまり荒らしたくないけど、こんな大勢の敵に攻め込まれたら防げないかも、といつの間にか流されてしまいます・・・。
「周りだけよ・・・」
ところが、青い騎士、こちらをちらっと見て首を横に振っています・・・。
え、ちょっと待って! 私が止める間もなく、たちまち巨大な赤い龍、炎を吐きながら敵兵に襲い掛かります。あっと言う間に、焼き尽くされる敵兵達・・・。
「ちょっと、もう止めなさい!」
「姐さん、敵兵が屋敷の周りに近づけないよう、もう少し!」
赤龍が止まりません・・・。
「だから、止めておいた方が・・・」
青い騎士、ため息交じりに呟きます・・・。
「赤龍、いい加減にしなさい! 呪文を唱えるわよ! るご・・・」
途端に炎が収まります。もう少しだったのに・・・、とぶつぶつ言いながら赤い騎士が戻ってきます。
「俺たちはこのまま敵兵を蹴散らして進みます。姐さんは、ここで待っていて下さい。 何かあったら指輪に呼びかけを。すぐ戻って来ます・・・」
「わかったわ、でも龍になって周りを焼き払うのはもうなしよ!」
私の言葉に、無言で俯く赤い騎士・・・。
やれやれ、と思い井戸の淵に手をかけた瞬間、あれ・・・。
(姐さん、じゃあ行ってきます・・・)
赤い騎士と青い騎士の言葉が遠くなり、私の視界も闇の中へ・・・。
・・・・・・・
気が付くと、そこは薄暗い闇の中・・・。
「ラシルか? よく来た・・・」
「・・・!」
「少し話をしておきたい・・・」
目の前に金龍、ゆっくりと巨大な顔をこちらに向けます・・・。
また、私が起こしたの・・・?




