パルバク王国への侵攻
宮殿に異変を告げた猿王、その翌々日には、国境近くの街ルグシャはずれの荒れ地を進みます。やがて、山肌を削るように切り開かれた畑と街が現れます・・・。
「おお、猿王様がお戻りになられた!」
見張りが知らせると、猿王の下へ猿たちが続々と集まってきます。
「皆聞いてくれ、昔の借りを返す時が来た!」
その言葉を聞いた猿たち、興奮してその場で跳ね、手を叩きます。
(蛮族神よ、今度こそ罪を償わせてやるぞ・・・)
猿王は、唇を噛み締めるのでした・・・。
・・・・・・・・・
それから数日後、パルバク王国への侵攻が突然始まりました・・・。
街道に突然現れたアルシュ軍約5千、ザム軍兵士約2万です。パルバク侵攻の指揮は、ザムの副司令官殿が執ります。ザムの兵達、青白い顔をして無表情です。
そして、目を引くのは巨大な獣・・・。
全身毛皮で覆われ、後ろ足2本でのそのそと歩くその姿。鋭い爪を持ち、大人の4~5倍はあろうかと思われる大きさ。腕を振ると王国との境門を、ガリガリと爪で削ってしまいます・・・。
一方、こちらは2万の兵士が通過した後、矛先をアルシュに転じた約1万のザム軍、都フラーナに進みます。髭将軍殿が、先頭で誇らしげな様子です。迎え入れるは、アルシュ武官イルーガ殿。
髭将軍殿、宮殿に入るや、拘束されていたアルシュ国王陛下と面会です。
「これは、陛下。初めてお目にかかります・・・」
「貴様、このようなこと許されると思うな!」
「依頼があって、我々はこの国に参ったのですよ。旧態依然の在り方を変えて欲しい、とね」
そう言って、将軍は髭を撫でつけます。
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その少し前、ユミル訓練校で、私は期末試験の監督をしていたのです。すると、突然指輪から赤龍のささやく声が・・・、
「姐さん、姐さん」
(ちょっと、赤龍、今試験中なの。静かにしなさい!)
「いや、それどころじゃなくて・・・。北に向かって、何か蠢いています」
え? 何が・・?
赤龍曰く、約束の地が呼んでいる、と指輪が囁いているとか・・・。
「その昔、無敵将軍とザルード家が戦った場所で敵を迎え討たないと、主殿が危ないかも?」
止むを得ません。私は、気分が良くない、と言い訳してリムさんに試験監督を代わってもらいます。
「ねえ、約束の地へ行くにはどうしたらいいの?」
「姐さん、その昔、無敵将軍が築いた龍の道があります・・・」
私の問いに、青龍が自信たっぷりに答えました・・・。
次回、金龍再び、です。




