異変の知らせ(改)
こちら、ルドラさんとの会談後、荷運び人に姿を変えた猿王、何日もかけアルシュ国内をくまなく調べます。そして最後に訪れたのは、西の国境の街ノーラ。
「今日は冷えるね・・・」
茶店で休憩をとり、店の給仕係の少女に声を掛けます。
「うん、北西の風が強いから・・・」
そういって、立ち去ろうとする直前、これを、と言いつつ心付けを渡す猿王。
途端に機嫌がよくなる少女・・・。
「おじさんも西から来たの? 先週から、荷物を運ぶ人が沢山来ているよ・・・」
「ほう・・・」
「皆疲れた顔していた。おじさん程じゃないけどね、アハハハ・・・」
そう言って少女は店の奥へ入っていく。
これは調べる必要がある・・・。そう呟くと、猿王は西の彼方を眺めるのでした。
・・・・・・
一刻後、街で宿を覗いて回る猿王の姿があります。残念ながらどこも満室です。
すると、荷運び人達を指揮していた男に呼び止められました。
「おい、お前、何している?」
「すいやせん、札なくしちまったみたいで、どこへ荷を持って行くのかわからなくて・・・」
その答えに男は、ちっ、これだから猿は・・・。ったく、やっと半分かよ。まだ、北へ運ばなきゃならねえのに、と悪態をつきます。
「荷は何だ?」
「へい、食料でさ!」
「なら、この先の宿屋の裏だ。早く行け!」
「すいやせん、助かります!」
猿王は頭を下げると、よろよろと荷を担いで歩き始めます。そして、宿屋の裏手に回ります。荷物を置きながら、積み上げられた荷山を素早く一瞥します。
(ざっと、1500俵! 半分としても、数万人分か・・・)
・・・・・・
その夜遅く、猿王はルドラ殿を再訪します、
「こんな遅くに申し訳ない・・・」
「まあ!こんな時間に会いに来てくれたの? 貴方なら歓迎するわ。それで何があったのかしら? 」
ルドラさん、微笑みながら猿王を迎えます。
「うむ、蛮族神が近日中に動く。 おそらく狙いは北方!」
「あら、そうなの。じゃあ、貴方に頼みたいことがあるの・・・」
ルドラさん、そう言って何かを持って来させます。
目の前の物を見て、困惑する猿王殿・・・。
「何故、貴方がこれを・・・?」
「あら、うれしいわ。驚いてくれたのね!」
貴方の知らない秘密がまだあるのよ、と意味深に笑うルドラさんでした・・・。
その後ルドラ邸を辞した猿王、山越えでアルシュの国境を越えます。そして、ユミル王都まで駆け続けます。翌々日夕刻、アサラ宮殿に到着すると、大臣殿の部屋へ直行しました・・・。
次回、パルバク王国への侵攻、です。




