グラナート大公
舞台は、ユミル王国トゥルクに戻ります・・・。
今、学期末の試験前です。訓練校は、騒がしい中にもどことなく緊張感があります。そんな中、私は、朝から別の意味で緊張していました。
これから、リムさんと奥様と三人で、トゥルク別邸にいらっしゃるグラナート大公夫妻を表敬訪問するのです。表向きは、訓練校への多額の寄付へのお礼です。
でも実は、娘を救ってくれたお礼を私に述べたいとのこと。
私もシュマさんに助けてもらった身なので、肩身が狭いというか、お礼を言うべきはこちらなのに・・・。
「なんでも、噂の龍巫女様と是非お会いしたいそうよ!」
奥様は、意味ありげに私を見ます。どの噂でしょうか?
心当たりが多すぎます・・・。
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お屋敷に通された私達、大公夫妻にお目通りです。まだ若いお二人ですが、奥様のご実家とグラナート家は先祖代々からのお付き合い、ご夫妻とも奥様と旧知の間柄とか。訓練校の敷地や建物も、元はグラナート家の持ち物だったそうです。
私は、奥様から教えられた通り、貴族向けのお辞儀で挨拶をします。丁寧に寄付のお礼を述べた後、いつしか話題は私に移ります。
「こちらが、例の龍巫女様ですよ!」
「まあ、お噂はかねがねお聞きしていますの!」
その言葉に、身の置き所がない私・・・。
「これこれ、娘の導師殿を困らせてどうするのだ・・・」
まあ! アハハハ、華やかな笑い声が響きます。私一人だけ苦笑い・・・。
「当家は、これまでも龍に縁があってな。その昔、食客に抱えた龍使いの将軍がいたとか」
大公殿の言葉に、指輪の中で龍達が何か叫んでいます。
(こら、静かにしなさい!)
「え? 何かおっしゃいましたか?」
「いえ、何でもありませんの。おほほほ」
冷や汗が出そう・・・。
「あの訓練校も、元はと言えば龍使い殿の依頼で建てた、と伝えられております・・・」
そうなのね。知らなかったわ・・・、
やがて女性陣を中心におしゃべりの花が咲き始め、華やかな笑い声が響きます。
そこで、グラナート大公はリムさんへ問いかけます、
「賑やかなのはあちらへ任せて、我々は別室行きませんか?」
そういって双六の盤を持ってこさせる大公殿、
「これは、双六と言って都ではやっている盤戯です。ご存じですかな?」
「ええ、いささか」
「おお、これは頼もしい。ではお相手をお願い致そう・・・」
リムさん、大公殿に伴われ別室へと案内されていきました・・・。
次回、グラナート大公妃、です。




