聴取
奥様からお借りして、ずぶ濡れの服を着替えます。別室でお茶を入れてもらい、一息ついた私に、リムさんと奥様から訳を聞かれます。
「どういう事か、説明をしていただけますか?」
「え~っと、話せば長いのですが・・・」
「聞きましょう!」
・・・・・・・
「話をまとめると、花嫁一行の襲撃事件に出くわし、ザルード大公に助けられ、シュマ殿の婚姻の儀に参列、帰る途中で誘拐未遂事件に巻き込まれ、枯れ井戸に舞を奉納したら、水があふれて訓練校まで流された、ということですか?」
「まあ、そういうことで・・・」
えへへ、と曖昧な笑いを浮かべる私。地主神や龍の話は伏せておきます。
「ラシル副主宰殿、貴方の話では半日足らずでアルシュからトゥルクまで戻ったことになる。そんな事はありえない!」
リムさん、足をカタカタと揺らしています・・・。
「いや、そう言われても・・・」
「では、訓練校のどこかに水路でもあるのですか?」
「リム副主宰、少しいいかしら?」
何やら、横でリムさんに耳打ちする奥様・・・、
「まさか・・・?」
「私も聞いた話なので詳しくは・・・。ただ、言い伝えはあります・・・」
リムさん、奥様の話に驚きつつ、私の方を疑わしそうに見ます・・・。
そこへ、アイラさんが入ってきました。
「リム副主宰、ルドラ主宰と念話の準備が出来ました」
「分かりました、すぐ行きます。ラシル副主宰、貴方も同席を!」
「はい・・・」
・・・・・・・
「あら、ラシルさん、随分とご活躍だったそうね・・・?」
(はい? 何のことでしょう・・・)
声がだんだん小さくなる私・・・。
「まあ、いいわ。年明けに、必ず貴族子弟校に行って、龍巫女舞を教えて頂戴!」
(ぬお~! 忘れていた・・・)
その後は、ルドラさんもシュマさん達の無事を確認した事。そして、しばらく問題は起きないだろう、という事が話されました。
「じゃあ、ラシルさん、龍巫女舞の件、よろしく!」
「はい・・・」
(今の私には、断る術がありません・・・)
ルドラさんとリムさん、その後も念話を続けます。私は、解放され教職員控え室に戻ります。暫くするとリムさんが戻ってきした。
「ラシル副主宰、貴方という人は・・・!」
そう言って私を睨むと、足音を立て再び部屋を出て行きます。
控室の片隅で、何故かアムル先生が大はしゃぎです。
「ラシルさん、今日飲みに行こう! どんな方法でリムを怒らせたのかゆっくり聞かせて!」
「・・・」
いや、私にもわかりません・・・。




