龍の遺跡
こうなったら、もう自力で抵抗することを諦めます。私、そっと指輪を外しました・・・。
その瞬間、私の背後から、ズルリ、と二匹の龍が顔を出す気配が・・・。
「ひぃ・・・!」
男達の顔が凍り付きます。次の瞬間・・・、
「逃げろ!」
うお~、と叫び声をあげ一目散で逃げていく男達を眺めます・・・。
青龍、赤龍、あなた達、さっき私の後ろで大きく口を開けたわね・・・。
「お姉さん、龍なの?」
「え?」
子供達に問われ、現実に引き戻されます。いや、そうじゃなくて、これには事情が・・・。
「こっちに来て!」
子供達は、私の手を引いて走り出します。え? あの、ちょっと・・・。連れて行かれた先は、山の中腹にある洞窟。私は、子供達と一緒に恐る恐る中に入ります・・・。
「あ、ここって、もしかして・・・!」
洞窟の奥には、僅かに残る壁画の跡・・・。しかし、そこには女神様ではなく、二匹の龍が描かれています。
「ねえ、指輪持っている?」
「え? これのこと・・・」
私が指輪を見せると、子供達大喜びです・・・。
「お姉さん、ここに指輪を・・・」
子供達の言われるまま、指輪を壁画の龍の目に押し付けます。すると・・・、
ズルズルズル・・・。
振動を響かせ、壁画の奥にぽっかりと入り口が現れました。
イ、イリュージョン・・・。
・・・・・
階段を下へ下へと降りていきます。子供達は、明かりを持って私を先導します。すると、突き当りの壁に今度は龍の浮彫があります。
「お姉さん、また指輪使って・・・」
子供達に促され、今度は龍の浮彫の目に指輪を押し付けます。すると・・・、
ズルズルズル・・・。
壁の一部がぽっかりと空きました。子供達は、座主様~と言いながら入っていきます。私は、その後に続き中に入ると・・・、
「ようこそ!」
「え?」
広い石室の周りに十人ぐらいの老若男女がいます。
「ねえ、座主様、龍姫さんってこの人でよかったの?」
「フホホホ、よく見てごらん。姫と呼ぶには失礼、この方は龍妃様じゃ・・・」
奥に老婆が一人、こちらを見ています。
契約を結んだ龍が戻ってくる気配があったので、まさかとは思うたが。座主様と呼ばれた老婆は、呟きながらこちらへ向かってきます。
「まずは、自己紹介といこうかね。儂は、皆に座主と呼ばれておる。各地を放浪中の身じゃが、今は故あってアルシュで地下暮らしをしておる」
「初めまして、ラシルといいます」
(地下暮らし? 何かしら・・・)
「ふむ、あんたが龍巫女様かね? ちょうど良い。実は龍巫女様に頼みがあるのじゃ・・・」
「はい?」
何か、嫌な予感が・・・。
次回、枯れ井戸、です。




