アルシュ国王
こちら、アルシュの都フラーナ宮殿。夕刻頃、先ぶれと共に藩王ルドラさんが現れます。その報を受け国王謁見の前に重臣たちに取り囲まれます・・・。
「これは、ルドラ様、誠にお久しぶりでございます」
「そうね、数年ぶりかしら?」
「左様で・・・、ところで、今日はどのような用向きで宮殿へ?」
重臣たち、ルドラさんの前に立ちはだかります。
「国王に会いに来たのよ、さっさっと通して頂戴!」
「なんの、国王の露払いも我らの役目。代わりにご用件を承りましょう!」
まったく、これだから・・・・。ルドラさん、ため息をつきます。
「そろそろ若い者と側近の入れ替えをしないと・・・。老害も甚だしいわね!」
「何ですと! いくらルドラ様とは言え、今の言いよう聞き捨てなりませぬ!」
バチバチと火花を散らす、ルドラさんと重臣たち。そこへ、扉を守る随身がやってきて一声、
「国王がお会いになられます!」
ルドラさん、その声と共に扉の向こうへ入っていきます。残るは歯噛みをする重臣たち・・・。
広い謁見の間の奥、高台に玉座がポツンとあります。国王は随身に支えられようやく玉座に着くところでした。ルドラさん、部屋の中ほどで跪きます。
「ルドラか? 久しいの、よく参った!」
「御無沙汰していた事お詫びいたします。陛下にはお変わりなく・・・」
「ふん、抜かせ」
痩せた体、皺が増え年老いた顔、供回りも少なく僅かな護衛のみ、最後に国王を見た時から変わり果てた様子。ルドラさん、内心の動揺を悟られないようにします。
「して、今日は一体何用じゃ・・・?」
「苦言を申しに参りました・・・」
「ほう? 申してみよ」
ルドラさん、促され言葉を続けます。
「はい、では申し上げます。・・・時の要を見守る四魔の聖獣さえ、流れには逆らえずただ寿ぐのみ、という諺がございます。近隣諸国の関係が、争いから一転し和に転じようとする大きな流れの前では、我々は成す術がないのです」
国王陛下、困惑顔です。
「一体、何の事を言っておる?」
「グラナート家とザルード家の婚姻のことにございます」
「ふん、そういえば誰かがアルシュの利にならぬ、と申しておったが・・・」
何やら思案顔の国王です・・・。
「わかった、やり過ぎぬよう釘を刺しておこう・・・」
「御理解賜り、ありがとうございます」
その後、おざなりな言葉を交わす二人・・・。
他に何かあるか? と聞かれ以上でございます、と答えるルドラさん、
「では、もう行け! あまり重臣たちを刺激するなよ」
「陛下、いや、父上、お体を大切に・・・」
ルドラさん、静かに一礼すると謁見の間を退出していきました。
次回、帰路、です。




