掃討
「ここを進めば、国境はすぐです!」
アルージュ卿がうれしそうに言います。シュマさんも一安心の様子。ところが・・・、
「姐さん、気を付けて下さい。赤龍、お客さんだぞ!」
「・・・?」
指輪の青龍が突然叫びます。すると、前方に十名程の兵士が待ち受けています。
「シュマさんだったかな、指輪に触れて、赤龍、守護せよ! と唱えてもらえますか?」
青龍に言われて、慌ててシュマさんが唱えます。するとシュマさんの指輪が光り、赤い鎧を纏っ騎士、シュマさんの前に突然現れ跪きます。
「主殿、まあ俺に任せてよ!」
・・・・・・・
「姐さん達は、ここから後ろに下がって。おっと、アル様だっけ、ややこしいな、兄ちゃんもな!」
アルージュ卿、シュマさんにも諫められ、戦いを我慢し従います。
赤龍、ガラガラと音をたて剣の先で地面に線を描くと、そこに炎の壁が生じます。
「この内側は安全だから!」
そう言って、赤い騎士は兵士達に一人で向かいます。
一人で大丈夫なの? 心配で思わず呟く私です・・・。
青龍は、まあ、見ていて御覧なさい、と自信たっぷりです。次の瞬間、赤い騎士は兵士達に向かって跳躍すると、剣を小枝のように軽々と振り回して、すさまじい勢いで舞い始めます。
周囲では巻き込まれた兵士達がバタバタと倒れていき、あっと言う間に決着がついたかと思われました。しかし、倒れた兵士が再び立ち上がり向かってきます。
「兄貴、こいつら頑丈だ。きっと何かに操られているよ!」
「遊ぶな!」
「分かっているよ!」
赤い騎士、青龍の言葉に今度は、兵士の急所を次々と刺し貫いていきます。その間に一人の兵士が赤い騎士に打ち掛かり、鎧を激しく切り裂きました。
「お~。兄貴、こいつ強いよ。鎧に傷つけやがった!」
「だから、遊ぶなと言っているだろ!」
青龍が叱咤した瞬間、後ろを振り向きざま赤い騎士、鎧を切り裂いた兵士の急所を刺し貫きます。
「う~ん、防御は未熟だな!」
「・・・」
そこへ、一人の兵士が隙をつき、私達の方へ飛び込んできます。
「危ない!」
思わず、アルージュ卿が剣を構えますが、その前に、炎の壁が勢いよく燃え上がり、兵士を寄せ付けません。炎が燃え広がり後退する兵士・・・。
その瞬間、一本の槍がうなりを上げて飛んできたかと思うと兵士の体を貫きます。
「アル!」
「御祖父様!」
茂みをかき分けザルード大公が現れます。
残りの兵士達は、赤い騎士が確実に仕留めて回り、事なきを得ました。
次回、聖なる水、です。




