守護の誓い
ここは、シュマさん達がいる上空、虚空に囲まれた封印が破られ、囚われの者たちが数百年ぶりに地上へ解き放たれます・・・。
「兄貴、やっと外に出られたよ!」
「ああ、だが下を見ろ! 姐さんがマズイ・・・。俺は暫く姐さんを診る。後は頼んだ!」
赤龍と青龍が怪しげな会話をしています・・・。
「なあ、兄貴、もう一人死にかけている奴がいるよ。俺がもらっていい?」
「ああ、好きにしろ!」
そういうと青龍は、体を縮めラシルの金の指輪へするりと入っていきました・・・。
・・・・・・
シュマさんが目を覚ますとそこは暗闇の中、遠くに僅かな明かりが見えます。なんとなく、そちらへトボトボと歩いていきます。
「よお! アンタ名前は?」
「私? 私はシュマ・・・」
突然声を掛けられました。でも暗闇に目が慣れるまでもう少し時間がかかりそう・・・。
「あのさ、アンタ俺の嫁にならないか?」
「・・・?」
視界はおぼろげで、まだ誰から話しかけられているかわかりません・・・。
「嫁・・・? あ、ダメよ! 私、アル様と結婚の約束しているのよ!」
「え? アル様?」
(まずいなあ、アルの旦那のことか?)
「そ、そうか。なあ、指輪を見せてくれないか?」
「ええ」
シュマさんは、アルージュ卿からもらった銀の指輪を見せます。
「あ・・・」
(うわ~、アルの旦那の指輪だ)
「ねえ、どうしたの?」
「いや、何でもない。そうか、だったらしょうがねえ。守護の誓いに変えるか」
「・・・?」
「なあ、シュマさんだったかな、永遠の命と生まれ変わる命、どっちが欲しい?」
「え?」
シュマさん、そこでラシル先生の事を思い出しました。
「ねえ、私よりもラシル先生を助けて欲しいの!」
「ああ、ダメダメ! 俺に姐さんは無理!」
「そう、ダメなの・・・」
シュマさん、がっかりです・・・。
「・・・私、永遠の命なんていらないわ。何度も生まれ変わる方が面白そうだもの!」
「よし、じゃあ生まれ変わる命な!」
(姐さんと同じもの選んじゃったよ、この人・・・)
そして、声の主は唱えを始めます・・・
「地主神よ、豊穣の神へ申せ。我が主シュマへ生まれ変わる命を与えよと、赤龍が名においてこれを命ず・・・」
その瞬間、シュマさんの目に巨大な赤い龍が映ります。
と同時に赤い龍は瞬く間に姿を縮め、シュマさんの指輪にするりと入っていきました・・・。
・・・・・・・
シュマさん、誰かの泣き声で目を覚まします。するとアルージュ卿が、自分の体を抱きしめながら泣き続けています。
「・・・アル様」
「シュマ!」
アルージュ卿、抱きしめる手に一層力が籠ります。
アル様、ちょっと痛いから・・・。
赤龍がアルの旦那と呼ぶ方は、ユミル建国の祖アレクス・ユルザード大王、シュマさんがアル様と呼ぶ方は、アルージュ卿の事です。赤い龍が同一人物だと勘違いしました。何故なら、シュマさんの指輪、ユルザード大王の正統な物でした・・・。次回、それぞれの朝1、です




