襲撃
トゥルクとパルバク王国を結ぶ南北街道を、シュマさんの花嫁行列がパルバク王国へ進みます。街道は、花嫁一行を優先するようお触れが出されています。そのため、アルシュとパルバク王国の境にあるケイガンという街に予定より早く到着し、花嫁一行は宿をとります。
「明日は、いよいよパルバク王国ですね」
「あまり早く着きすぎると、変に思われないかしら?」
「アルージュ卿は、きっと首を長くしてお待ちですから、早く着いた方が喜ばれますよ!」
侍女からそう言われて、少し顔を赤らめるシュマさんです。
すると、部屋の扉を叩く音がします。侍女が、見て参りますと言い扉を開けると、
「花嫁にお花を届けに参りました・・・」
花束を抱えた少年が、護衛に伴われ部屋に入ってきます。送り主は、アルージュ卿になっています。
「まあ、なんて素敵なの!」
そこには、色とりどりの花が競うように束ねられています。
「花婿様は、待ちきれないご様子ですね・・・」
花瓶を借りてまいります、といい侍女は笑顔で部屋を出ていきました。シュマさん、アルージュ卿の心遣いがうれしくて、花束に顔をそっと近づけます。くすぐったいような甘い香りです。しばらくすると長旅の疲れが出てきたようで、寝台に横になることにしました。
お疲れのご様子ですね、花を飾っていた侍女は、そう言いながら部屋を出ていきます・・・。
翌日、パルバク王国に向けて出発です。侍女が昨日届いた花を再度束ねて輿に入れてくれます。街道の景色は小高い丘と、そして反対側に森を見ながら進みます。そして、お昼前にパルバク王国への国境が見えてきました。すると国境の城壁から、「シュマ~!」と叫ぶ声が聞こえます。
「まあ!」
「あらあら、お待ちかねですよ・・・」
シュマさん、大声で名前を呼ばれてうれしいやら恥ずかしいやら・・・。
侍女が花束から花を抜き取り持たせてくれます。シュマさん、輿から顔覗かせ花を片手に手を大きく振ります、とその時・・・、
「あっ!・・・花が」
キィー、というけたたましい叫び声と共に、黒い鳥がシュマさんの手から花を奪うと、街道脇に下り立ちます。何事かと慌てて輿も止まります。
「お怪我はありませんか? そこでお待ちください。」
侍女が、鳥から花を取り戻そうとしますが、身を躱されます。それどころか羽を大きく広げ侍女に襲い掛かりました。
「危ない!」
シュマさん、思わず輿から降りて侍女の方へ、護衛達も駆けつけます・・・。
その瞬間、鋭い風切り音をなびかせ新手の黒い鳥が輿に体当たりしてきます。
バシーン!
「キャー!」
何事かとシュマさんが振り返ると、輿が壊され隊列が乱れる中、空から黒い鳥がシュマさんめがけて飛んできます。
「弓で迎撃を、他の者は密集して姫を守れ。森へ避難する!」
護衛達が鳥と応戦する中、シュマさんは侍女と共に数人の護衛に囲まれ森の中へ避難していきました・・・。次回、逃避行、です。




