荷車改良案2
実はリムさん、他の生徒達から色々提案を受けていたのですが、実用に向かないか、効果が期待できないものばかりで、タマキちゃんの提案に望みを託していたのです。別室に通され、奥様も交え早速説明が始まります・・・。
「あのね、この ”びよ~ん” を車輪にくるくる巻いて走らせるの、そしたらクッションになるの」
タマキちゃん、お土産にもらったクッションを、ぎゅっと抱きしめます。
「私の提案は、台車に通す車軸の受けにこれを挟めば、荷物を運んでも負担が減るのではと・・・」
リムさん、二人の提案を聞きながら、タマキちゃんが持ってきた伸びる素材から目が離せません。
「街道が整備されておらず、動けなくなる件はどうします?」
「あのね、車輪を6つつけるの」
「ほう、それは何故?」
「それはね、虫は足が6本だから!」
タマキちゃん、シュマさんのおかげで虫に詳しくなりました・・・。
「ぬかるみに車輪をとられ、動けないときは?」
「う~ん、真ん中の車輪を少し小さくするの。車輪が壊れた時に交換もできる~」
リムさん、タマキちゃんの答えに、突然足をカタカタ鳴らし始めます。
奥様は、伸びる素材を手にとりながら質問します。
「この、”びよん” はどこで・・・ 」
「びよ~ん!」
「失礼。 “びよ~ん” はどこで手に入れましたか? 」
「猿王にもらいました。森にねばねばの木があって、その樹液で ” びよ~ん” を作ります」
ミサトちゃんが、答えます。
「そう、猿王殿ですか・・・」
場合によっては、猿王殿も巻き込みますか? とリムさんと奥様が小声で言葉を交わします。
「ミサトさんとタマキさん、あなた達、この ”びよ~ん” を育てる商店を立ち上げて下さい!」
「・・・?」
「荷車の改良案は、まだ検討の余地がありますが、この”びよん”、失礼、”びよ~ん” は非常に有望です。必要な費用は全て当校が負担します。」
リムさん、足のカタカタが止まりません。
「あなた方、卒業したらアルシュに来ませんか?」
「あら、ダメよ! ユミルで育った子達は、ユミルが一番よね?」
リムさんと奥様は、バチバチと火花を散らしながら睨み合います。優秀な生徒を、早く取り込みたい気持ちを二人共隠せません・・・。
「あの、私達、商店をどうやって立ち上げていいかわかりません」
ミサトちゃんが困惑しています。
「それは、ラシル副主宰に任せなさい。新規事業の立ち上げはお手の物です」
リムさんと奥様が声を揃えます。また、嵌められました・・・。
次回、商店準備、です。




