荷車改良案1
舞台は、トゥルクの訓練校に戻ります・・・。
「・・・これが荷車の形です。まず車輪と呼ばれる木製の丸い板が2つとそれを結ぶ軸というものがあります。台の下にこの軸を通し、地面の上を左右の車輪が回ることで荷物を載せて進みます・・・」
今日は、荷車改良案を考えてもらうため、生徒全員が集まり講義を受けています。さて、問題点は・・・、
「一つ目は、長い距離や、重い荷物を運ぶと、車軸や車輪が壊れやすいことです。
二つ目は、街道が整備されていないと、進めなくなること。
三つ目は、荷車を引く驢馬が途中でいうことを聞かなくなる・・・」
ハハハ、生徒達から笑い声が漏れます・・・。
今まで通り、驢馬で荷物運べばいいのに、そんな声も聞こえます。
「商売とは、荷物を一度に沢山、そして早く運ぶことも有利に進めるコツです。皆さんから良い改良案が出ることを期待します・・・」
なんと、優秀賞には金一封が出るそうです。生徒たちのやる気に火が付いてきました・・・。
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お昼休みのひと時、庭園はいつもよりざわざわしています。タマキちゃんは、早々にお昼を食べ終わり、地面に何やら図を描いています。
「タマキちゃん、何を描いているの?」
お友達から声を掛けられて、えへへ、と笑うタマキちゃん・・・。
「この子は、荷車改良案で頭がいっぱいなのよ・・・」
ミサトちゃんが代わりに答えます。ミサトちゃん、違います。タマキちゃんの頭の中は、金一封のことで頭がいっぱいでした・・・。
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放課後の帰り道、タマキちゃんがミサトちゃんに話しかけます。
「姉様、森で使っていた投網機の ”びよ~ん” って伸びる紐まだあるかな?」
「ああ、あれね。確か家の倉庫にあるはずよ。でも、大分使ったから ”だら~ん” になっているよ」
「ぶ~」
タマキちゃん、せっかく良い案を思いついたのに、まさか使えなくなっているとはがっかりです。
「ねばねばの木は森にあるから、訳を話して猿王に作ってもらえば?」
「うん、そうする!」
タマキちゃん、機嫌を直して仲良く帰り道を急ぎます。
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一月後、猿王からタマキちゃん宛てに待望の ”びょ~ん” が届きました。
それを手に、ミサトちゃんとタマキちゃんが、教職員控室のリム副主宰の元を訪れます。
「荷車改良の提案をさせてください!」
リムさんは、その言葉を待っていました、と言わんばかりに二人を見ます・・・。
“びよ~ん” とは、狩りで使う投網機に使われています。しかし、劣化すると交換が必要でした。




