結婚披露式
新学期が始まり1週が経ちました。私、今悩みがあります。
ああ、どうしたらいいの? 教職員の控室で、何度となくため息をつく私を見かねて、アイラさんが声を掛けてくれました。
「ラシル副主宰、どうかされたのですか? 朝からため息ばかりですよ」
「そうなのよ、ねえ聞いて! 2月後にシュマさんの結婚披露式がトゥルクであるの。でもちょうどその前日に、私はバーキルに行かないといけないの・・・」
私は、ルドラさんが座っていた場所を軽く睨みます。ルドラさんは、2月後に行われるバーキルでの会議に、私が出席するよう指示を出し、昨日帰っていきました。なんでも、各教育校から人を招いて教育方針が話し合われるとか。
「バーキルからトゥルクまで、どんなに急いでも5日はかかるわ。結婚披露式に間に合うように帰る方法はないかしら?」
私は、リムさんにバーキル行きを代わって欲しいと頼んだのですが、すげなく断られました。ああ、飛んで帰れるなら、陸クジラに乗ってでも披露式に間に合わせたい・・・。
「ラシル副主宰、よろしいですか?」
突然声を掛けてきたのは、元護衛隊長さん。
「確かシュマ殿は、パルバク王国まで嫁ぐのですよね? それなら、帰りは遠回りですが、バーキルから直接アルシュに向かえば、花嫁一行を途中で捉まえられるのでは?」
なんと、護衛隊長時代にアルシュを訪れたことがあるとか。古戦場を迂回する道が確かあったはずだが、と呟きます・・・。
「よくご存じで・・・」
リムさん、苦笑いしながら答えます。
「ラシル副主宰がバーキルから何日かかって戻ろうと、仕事をしていただければ問題ありません」
ようし、言質はとった! 机の下でぐっと拳を握ると、アイラさんがそれを見て笑いを堪えています。
「因みに、今、貴族の間で当訓練校にどんな噂が立っているかご存じですか?」
「いいえ・・・」
私は、全く見当がつきません。
「当校で龍巫女舞を修めれば、龍が縁結びをしてくれるらしいです・・・」
「・・・?」
当校は婚儀の相談場ではないのですが・・・とリムさんが呟きます。
「ルドラ主宰は、龍巫女舞を当校限定でなく、貴族子弟にも規模を広げたいそうです。ラシル副主宰は、そのためにバーキルに行くのですよ・・・」
のお~! 嵌められた!
「まずは、当訓練校の女生徒に龍巫女舞を教えて下さい。来週からお願いします・・・」
リムさんは、笑いを堪えながら部屋を出ていきした・・・。
私は、龍巫女舞の導師、という肩書で2月後の会議に赴くことになります・・・。うぬ~!
次回、武術大会の余波、です。




